出版社内容情報
苦楽を共にした妻が語る、人間・漱石。没後100年を機に、旧かなづかいの単行本を新装版で復刊。
内容説明
妻・鏡子の目に映じた亡き夫、夏目漱石。苦楽を共にした者のみが知る結婚生活20年のエピソードや、人間・漱石の姿が、温かで率直な語りにより生き生きと蘇る。漱石の門下生にして長女・筆子の夫でもあった小説家の松岡譲が筆録し、漱石の十三回忌を機に刊行された本書を、当時の雰囲気を伝える旧かなづかいのまま、新たな装いで復刊。
目次
松山行
見合ひ
結婚式
新家庭
父の死
上京
養子に行つた話
「草枕」の素材
書生さん
長女誕生〔ほか〕
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鱒子
35
図書館本。夏目漱石夫人、鏡子さんの話です。筆録の松岡譲氏は、漱石夫妻の長女筆子さんの夫にあたります。家庭内の漱石の事が中心ですが、登場人物や事柄が多すぎて、内容が非常に濃いです。そして、鏡子さんの記憶力にビックリ。漱石の家庭内DV、死後の献体について、以前から興味があり、奥さんサイドの考えを知りたくて読みました。2017/07/17
てれまこし
11
身内で、しかも没後十三年経ってからの回想なので、史料としては鵜呑みはできないが、崇拝者たちに神格化されてしまった漱石像とはちがう一面を捉えた貴重な証言。ショッキングなのは、漱石がただの神経衰弱ではなく、何らかの精神病を患っていたという点。追跡狂とかいう一種のパラノイアらしい。漱石が探偵を非常に嫌ったのもこれと関係あるらしい。若い頃からあるが、留学中に重度になって、帰国後がいちばんひどかった。創作を始めたら止んだ。妄想も創作も想像力だから関係ありそう。晩年もまた再発するが、やはり『行人』を書いているころだ。2022/02/28