内容説明
“場違いなところに来てしまった…”映画『それでもボクはやってない』で日本の刑事裁判の不条理を描いた監督が、思わぬ縁で法制審議会「新時代の刑事司法制度特別部会」の委員に選ばれた。えん罪をなくすための改革を求めて闘った、葛藤の日々を自らつづる。異色のノンフィクション。
目次
第1部 会議は踊る、されど…(委員デビューの日;特別部会“最大の使命”―取調べの録音・録画を考える;証拠の全面開示は不可能なのか―法曹界の「常識」への挑戦;身体拘束への想像力―人質司法は存在しない?;五人の非法律家委員、動き出す)
第2部 巻き返せるか?官僚式取りまとめ(袴田事件の衝撃;「可視化」の仕組みをつくる―役人話法との悪戦苦闘;最高検「依命通知」で急展開―「可視化」の仕組みをつくる(2)
最高検「依命通知」で急展開―「可視化」の仕組みをつくる(3)
一つ先の案を求めて「可視化」の仕組みをつくる(3)
二つのテーマ、一歩前進なるか―証拠開示・人質司法の着地点は)
第3部 大きな改革への「第一歩」として(なぜボクは妥協したのか)
著者等紹介
周防正行[スオマサユキ]
1956年東京都生まれ。映画監督。立教大学文学部仏文科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
113
冤罪の裁判映画の監督、周防さんが日弁連から依頼されて法制審議会の委員に選ばれるところから始まります。このような本を読んでいると、常識人ではこのような委員はなかなか務まらないのではないかという気がしてきます。学者や官僚(警察も含めて)というのはこのような場所で仕事をすると人間が変わってしまうものなのでしょうか?多くの普通の人がこのような本を読んで物申す、ということを大きな声を上げていかないと日本は本当に良くならないのではと感じました。2015/10/20
おかむら
41
加瀬亮主演の痴漢えん罪映画←これ面白い! の監督さんが法務省のえん罪を無くしていかないとという主旨?の会議で奮闘したノンフィクション。取調べの録画とか証拠の全開示とかそれ当たり前に必要でしょうということをここまで官や学者の方々が反対してるとはねえ。腹立つよ。しかも言い回しがわっかりにくい。鵺のようなやつらだよ。えん罪の被害者(当事者)である村木厚子局長の意見が一番わかりやすく真っ当でした。かなり読みにくいですが、法律用語や官僚言葉だらけの会議に3年近くも出席した周防さんはホントにエライ。2015/09/02
おさむ
27
取り調べの可視化(録音録画)を目指し、司法の厚い壁と戦った周防さんの体験記。無実の罪を着せられた村木さんとの共闘ぶりが見物。でも結局、性善説の周防さんらと性悪説の検察警察との主張は相いれなかった訳ですね。法律用語が頻出するので、図解やイラスト、写真等を入れて解りやすくする工夫が欲しかった。2015/07/05
Piichan
20
日本人が自由を奪われるのにあまりにも問題意識がないことを痛感させられました。民主制国家では冤罪の責任は主権者である国民にも及ぶということがもっと理解されるべきです。法制審議会で犯罪被害者支援にかかわる委員が取り調べの可視化に消極的なスタンスをとっていたことが残念です。デュー・プロセスが守られてこそ犯罪被害者・遺族は救済されると思います。
こうちゃ
19
〔それでもボクはやってない〕という刑事裁判をテーマとする映画をつくった映画監督ということで白羽の矢が立ったのだろうであろう周防監督が、委員に選ばれた法制審議会「新時代の刑事司法制度特別部会」の会議記録と、冤罪をなくすための改革を求めて闘った葛藤の日々を綴ったノンフィクション。最大の論点は、取り調べの録音・録画〔可視化〕であるらしいが、警察・検察・裁判官、それぞれに都合のいいように解釈してうやむやにしようとする姿勢に不信感と嫌悪感を抱いてしまった。〔郵便不正事件〕で無罪になった村木委員の声は届かないのか?2015/07/29
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