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漱石の漢詩を読む

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  • サイズ B6判/ページ数 165p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000237215
  • NDC分類 919.6
  • Cコード C0095

内容説明

漱石の漢詩は、日本近代文学の比類ない独立峰。作家古井由吉が、漱石文学の精髄を、漢詩に突き止める。日本語の個性とその衰弱は、何に由来するのか。失われた日本語の可能性を照らし出す、漢詩のポエジーと象徴。死を前にして、解き放たれた漱石の想像力が、見えない世界の調べと映像を結晶させる。

目次

前口上 漱石の独立峰(漢詩・漢文と私;日本語の精妙さ)
1 修善寺の大患(漢詩と修善寺の大患;病中の吟;青い灯;寒々とした安静 ほか)
2 『明暗』の頃(漢詩と小説の落差;静寂の境地;気迫と諧謔の詩;漢詩の「私」と近代の「私」 ほか)
むすび 日本語の再生のために

著者等紹介

古井由吉[フルイヨシキチ]
1937年生まれ。東京大学大学院独文学専攻修士課程修了後、金沢大学で講師を、立教大学で助教授を勤める。70年、『杳子』で芥川賞受賞。以降、作家活動に専心する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

yumiha

44
前半の「修善寺の大患」の頃の漢詩は、「思い出す事など」で見たはずなのに、全く記憶にない。んだ。漢詩は(も?)苦手だし、ようワカランってスルーしちまったからさ💦その漢詩を読み解いてくれる本書。なるほど!と頷かされる本書。岩波ホールで4回講演された内容なので、難解な小説(私だけ?)よりも、ずっとずっと読み易い。その漢詩解説の合間に差し挟まれる古井由吉の「道」「文」「藝」などの漢字の語源の説明も、ふむふむ、と教えられた。また、漢文と和文を使いこなせるバイリンガルな日本人、という指摘も、新たな驚きだった。2022/11/09

ちゃっぴー

15
詰まったスケジュールで書かれていた新聞連載小説。病気を患ってからは、自分が一歩現実の世を離れた気分になり健康な時にはとても望めない長閑な春が湧いて出る。そのくつろぎと解放感から生まれる漢詩がとても美しく感じる。陶淵明の「書を読むことを好めども、甚だしくは解するを求めず」に、ホッとする。2017/10/14

Chako@(旧名:かど =^ェ^=)

7
漢文の長い歴史から見ても漱石の漢詩はまさに一つの到達点。けれども私にとっての漢文は学生の頃から苦手で教養も素養も全く無いに等しい。だからその凄さが分からない。豚に真珠、猫に小判である。漢文素養が欠落してる人間が漢文素養のある作家の小説を読んだ時に、自身の感性が制限されるだろうと自覚する。少しでも今後の読まれる本に対して少しでも栄養となるように…との思いで読んでみた。読んでて何より為に成ったのが、漢字·語句の本来の意味や古代中国の思想と事情への註釈である。懇切丁寧に聴衆(読者)が飽きないように、☟☟☟続く2018/11/18

OjohmbonX

5
この著者に「漢詩の素養は自分に無い」と謙遜ではなく本気で言われちゃうとあたしゃ立つ瀬がないねえ。漱石よりも古井由吉よりもずうっと手前にいるわけだけれど、それでも本書から少しずつ始めてみようかしら。ところで「あまり深読みしないこと、いかめしく読まないこと、むしろ表面的なことをたどっていくと、かえって漱石の真意が伝わってくるのではないか」(p.94)という認識は(別に漱石に限らず漢詩に限らず)ちょっと示唆的だった。実際、ややもするとテクストを離脱して読みのための読みに流れる場合もあって、その戒めにも。2010/12/14

ひろゆき

2
セミナーでの連続講義をまとめたもの。漱石晩年の漢詩を逐語的に解説しているので、セミナーのかたちでで理解するのは、私には無理無理。本になっているから、少しは理解できる。著者は日本人の漢文にたいする素養がなくなりつつあるのを日本語の崩壊ととらえるが、流れを憂いても仕方ないのではとも思う。2013/09/03

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