内容説明
占領期に始まる米国の対日文化政策は、今日まで日本人の精神に深い痕跡を残している。本書は、「双方向の交流」を謳った米国の文化政策が、実は冷戦のパラノイアと日米の非対称性によって深く冒されており、その結果として日本の知識人の中に深刻な対米依存が形成されたことを、米国側の膨大な一次史料を駆使して描き出したものである。
目次
第1章 アメリカ合衆国の文化攻勢としての占領改革
第2章 冷戦、「逆コース」、ナショナリズムの台頭
第3章 「ソフト・ピース」と「ふさわしい地位」
第4章 東京でのジョン・D.ロックフェラー三世―文化交流かそれとも文化帝国主義か
第5章 ロックフェラー報告書―共産主義の脅威に対抗して
第6章 日本知識人への文化攻勢
第7章 日本人を親米派に―一九五〇年度東京大学アメリカ研究セミナー
第8章 分権か対抗か―京都アメリカ研究セミナー
第9章 「形だけの民主主義」
著者等紹介
松田武[マツダタケシ]
1945年生まれ。1979年、米国ウィスコンシン大学大学院歴史学研究科修了(Ph.D.)。現在、大阪大学大学院国際公共政策研究科教授。専攻はアメリカ史、アメリカ対外関係史、日米関係史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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メルセ・ひすい
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必読書 現代日本人の基盤 ●特に、これからの日本を担う諸君! 熟読を! ◎冷戦のパラノイア! 米国の政策 国家目標 三位一体 2009/01/12
ななっち
1
占領期のアメリカの対日文化政策については、ダワーの「敗北を抱きしめて」でも考えさせられるところがありましたが、その明確な目標と巧みな方策に日本人の弱点や国民性について改めて考えさせられます。例えば1919年のヴェルサイユ条約における日本人の主張を分析して、日本人の人種意識における劣等感と優越感の混じったダブル・スタンダードを鋭く見抜き、占領政策において西欧圏へ巧みに日本を誘導していくことにより、文化強制ではなく合意を引き出していくという戦術。ある意味腹立たしくなるほど日本人を見抜いていていますね。2012/01/25
メルセ・ひすい
1
占領期における米国の対日政策は、今日まで日本人の精神に深い痕跡を残している。本書は「双方向の交流」を謳った米国の文化政策が、実は冷戦のパラノイアと日米の非対称性によって深く冒されており、その結果として日本の知識人の中に深刻な対米依存が形成されたことを米国側の膨大な一次資料を駆使して描かれたものである。2009/05/15
メルセ・ひすい
1
「双方向の交流」を謳った米国の文化政策が、冷戦のパラノイアと日本の非対称性によって深く冒されており、その結果として、日本の知識人の中に深刻な対米依存が形成されたことを、米国側の膨大な一次史料を駆使して描き出す。2009/03/18
メルセ・ひすい
1
野坂参三VS.宮本顕治 ‘50 ◎言行不一致国家 悪 ・欧米人は「自由・平等・博愛」といった普遍的な理想を掲げながらも、他方むでは非白人に対して、植民地支配をおこなってきた事実や、国内の少数民族や他国の非白人に対して偏見、差別に満ちた行為を数限りなく行ってきた。 米軍基地の移転問題に注目して自分として、どうトラエテいるか・・・ 思考してみること。 2009/02/13