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出版社内容情報
あるところに個性的な顔をもつ人がいた。その顔はみんなに愛され、画像がネットに溢れた。ところが自撮りを繰り返すうち、顔はやがて輪郭を失ってゆき──。ソーシャルメディア時代にわたしたちは「わたし」とどう向きあえばいいか。前作『迷子の魂』につづき、繊細でメランコリックなイラストとともに描かれる現代のおとぎ話。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
146
ブレイディみかこ推薦、ノーベル文学賞作家による絵本ということで読みました。仕掛け絵本、シュールで奥が深い作品でした。 https://www.iwanami.co.jp/book/b648009.html2024/08/21
蘭奢待
33
絵本。トカルチュクの文章。主人公は個性的な顔立ちで、自らそれが自慢であった。歳を重ねてか、容貌は見る影もなくなり、大金を出して新たな顔を求めた。しかし、手に入れたものの気がつくと、その顔は世の中に溢れていた。何かを暗喩し示唆しているようにも解釈できるが、真意は読み取れなかった。 ヨアンナ・コンホの画が素晴らしい。2024/10/08
ヒラP@ehon.gohon
8
【再読】大人のための絵本2024/10/02
起死回生の一冊を求めて
4
大好きなオルガ・トカルチュク。早く彼女の新しい小説の邦訳が出て欲しいところですが、とりあえず新刊が出ただけでも感謝。「迷子の魂」でヨアンナ・コンセホさんの絵のファンになりましたが、今回はなんとも不穏な絵が多い笑。それはそれで作品の内容に沿っているので文句はなく、すばらしいものばかり。こういう大人向けの絵本がもっと出ないかなぁ。2024/09/06
遠い日
2
オルガ・トカルチュクXヨアンナ・コンセホのコンビによる第2弾。多分に現代のSNSやそれに纏わる承認欲求、匿名性、次第に薄れていく個々の存在感などを実に象徴的に書き出しています。顔という唯一無二の自己存在をしめすものが、ネットの海の中で漂流し、拡散されることで何ものでのなくなっていく、その恐ろしさを訴えています。個性とはなんでしょう?自分に溺れて、自撮りを繰り返すうちに、皮肉なことにどんどんなくなっていくアンビバレントな自己存在。コンセホのすばらしい絵の中の含みがわたしを掴みにくる。2024/09/28