- ホーム
- > 和書
- > 文芸
- > 海外文学
- > その他ヨーロッパ文学
出版社内容情報
あるところに個性的な顔をもつ人がいた。その顔はみんなに愛され、画像がネットに溢れた。ところが自撮りを繰り返すうち、顔はやがて輪郭を失ってゆき──。ソーシャルメディア時代にわたしたちは「わたし」とどう向きあえばいいか。前作『迷子の魂』につづき、繊細でメランコリックなイラストとともに描かれる現代のおとぎ話。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
153
ブレイディみかこ推薦、ノーベル文学賞作家による絵本ということで読みました。仕掛け絵本、シュールで奥が深い作品でした。 https://www.iwanami.co.jp/book/b648009.html2024/08/21
どんぐり
84
ネット上に個人の画像が際限なく複製されていく。個人固有の顔が絵文字になり、宮崎アニメになりデコレートされていく。画像が増えるほど、現実の、オリジナルのその人のイメージが壊れていく。そこでは、人間の顔は現実の層からはぎとられていく。人は「見る」ことよりも、「見せる」ことに重きを置くと、個性がはぎとられるらしい。近未来、人間は個性を隠ぺいしたアバター顔を見せながらコミュニケーションしているに違いない。トカルチュクの文とヨアンナ・コンセホによる異次元の絵本。2025/04/06
Vakira
56
個性的な人?アイドル?芸人?ヒーロー?アスリート?変態?はて?人は誰彼、君も僕も個性的だ。では君の話?蟻の大軍はザックリみな同じに見える。虫眼鏡で見たら各々違いが見つかるかも。同様に宇宙から人を見たら蟻と同じように皆同じに見えるのだろう。君が君と思えるのは君に君の顔があるからだ。君に君の顔がなくなったら誰も君とは気づかない。君の買った顔は万人と同じ。でも僕は君を見つけられると思っていた。それは僕の思い上がり。1億2千万人の中に紛れた君は何処にいるのか。出会えなければ見つからない。そして僕は途方に暮れる。2024/12/09
とよぽん
48
分類726.6というラベルが貼ってある。絵本ではなく、イラストや写真を駆使したビジュアルとともに提起された問題だと思う。ノーベル文学賞作家オルガ・トカルチュクの「迷子の魂」と並び、現代人に個人のアイデンティティ危機を投げかける。作者は「私たちがもっている唯一の財産は私たち自身であり、アイデンティティである」と述べている。ネット社会にあって、次第に自分自身を見失いかけている状況に、目を向けるよう警鐘を鳴らす本だ。2024/11/18
蘭奢待
38
絵本。トカルチュクの文章。主人公は個性的な顔立ちで、自らそれが自慢であった。歳を重ねてか、容貌は見る影もなくなり、大金を出して新たな顔を求めた。しかし、手に入れたものの気がつくと、その顔は世の中に溢れていた。何かを暗喩し示唆しているようにも解釈できるが、真意は読み取れなかった。 ヨアンナ・コンホの画が素晴らしい。2024/10/08
-
- 和書
- 本気でいい家に住みたい