対論 言語学が輝いていた時代

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  • サイズ B6判/ページ数 270p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000227704
  • NDC分類 804
  • Cコード C0080

出版社内容情報

異なる方向から言語の問題に向き合ってきた二つの弧峰が激突。井筒俊彦、服部四郎、亀井孝など言語学者たちの真実、記述言語学や意味論研究の意義、チョムスキーへの徹底批判、ソシュール以後の言語学の可能性、さらには漢字論や英語教育についても熱論。学問の喜びと厳しさを語りつつ、輝きを失った言語学に檄を飛ばす。

内容説明

鈴木孝夫と田中克彦。真っ向から対立するかのごとく目されてきた言語学界の二大巨峰。しかし、ともに半世紀以上にわたって、真剣に、文字通り「身体を張って」言語学という学問に挑んできた、という共通項がある。この二人がはじめてがっぷり四つに組んだら何が起こるか?二人の学者の師であった井筒俊彦、亀井孝、さらにともに親しく知っていた服部四郎など大言語学者たちの在りし日の姿、凄さ、変人ぶりがまざまざと眼前によみがえり、歯に衣着せぬチョムスキー批判、日本の学界批判が続く。そしてアメリカの記述言語学、ヨーロッパ意味論の学術的系譜、ソシュール学などに截然たる評価が下され、さらには漢字論や英語教育、エスペラントについても熱論、膝を打つような名言が次々に飛び出す。まさに「言語学が輝いていた」時代だった二〇世紀。そして言語学のみならず、学問そのものの灯が消えぬよう、二人の言語学者の闘いは続く。

目次

第1章 回想の言語学者たち
第2章 言語と文化
第3章 日本人にとっての日本語と英語
第4章 “エネルゲイア”としての言語
第5章 言語学はどうなるのか
対談を終わって

著者等紹介

鈴木孝夫[スズキタカオ]
1926年東京生まれ。慶應義塾大学名誉教授

田中克彦[タナカカツヒコ]
1934年兵庫県生まれ。一橋大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬参仟縁

15
読んでいたようで読んでいなかった本。言語学の二大大家。鈴木先生は、慶應というのは時々凄いのがヒャーッとでて、ヒューッとだめになって、またヒャーッと(10頁~)という面白い表現をされている。田中先生は言語学はただ記述すればいいのではなく、国家とか権力の問題に触れざるをえないことを指摘する(45頁)。人文科学とか社会科学のおかしな分類に風穴を開けて、本質をつかみとるという熱意を感じる。「進歩によって墓穴を掘る人類」(82頁~)。これは原発が文明の落とし穴ということにつながろう。鈴木先生の日本語教は教えられた。2013/05/24

活字の旅遊人

4
10年くらい書棚に飾っていた本。やっと読みました。二大異端巨匠による昔話がメインですが、言語学全般の歴史や哲学的なところが出てくるので勉強にもなります。西洋、特にドイツやロシアのアカデミックなところは、日本ではあまり知られない世界かも知れませんね。お二人とも、言語から民衆、文化を考えておられるスケールが素敵。2020/11/05

くにお

2
渡辺明が「ただの世間話」と酷評していたのも納得。自分たちの分野を語るのは結構だが、全くの勉強不足による生成文法への的を得ない批判は確かに茶番。

ひらり庵

1
「言語の脳科学」ではダーウィン、アインシュタイン級の偉人とされたチョムスキーが、本書ではヘルダー、ソシュール、ヴァイスゲルバー、フンボルト、ヤーコブソンなどと対比される有力な言語学者の一人である。言語の生得説も、彼の人種、宗教に由来すること、まず共産圏で受け入れられたこと、それが人類史的な脳の進化と合致しないことなどが指摘されている。言語は上半身=理性、下半身=行動という半獣神のような存在(255頁)で、そのような存在を扱う言語学では、一つの理論は半世紀持たない、としている。そうだろうなと思う。2018/10/20

ず〜

1
『言語学が輝いていた時代』って、今は輝いてないのかよ!とツッコミながら読んだが、この2人がご健在のうちはまだ輝いてるだろうな。私が授業を受けたことのある先生の先生にあたる人の話も出てきて急に親近感がわいた。こういうすごい人たちの考えにふれていつも思うのが、すごい人たちでさえかなり勉強してるっていうことと、疑問をもって批判することの大切さ。一部、的外れな批判もあるらしいが…。私も臆せず正当な批判ができるようになりたいな。2017/07/29

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