感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ayumi Katayama
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2000年3月9日。イリノイ州知事ジョージ・ライアンは死刑執行のモラトリアム(暫時停止)を宣言した。そして諮問委員会を立ち上げる。著者は、その諮問委員会のメンバーの一人である。ライアン知事は何故死刑執行を暫時停止したのか。それは「誤りに満ちている」からであって、死刑囚の3分の1が死刑には及ばないという事実による。日本はどうなのか。そういう死刑囚、あるいは死刑の執行はないだろうか。省みずにはいられない。もしそういう死刑囚がいるのであれば……。私たちは、とりもなおさず、殺人者である。2019/05/04
抹茶ケーキ
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イリノイ州の死刑問題を調査する委員会に選ばれた筆者が、死刑について考え、結論を出そうとする本。「どんな犯罪者であっても人を殺すのはよくない」「無実の人が誤判で殺されていることは間違いない」という考えと、「死刑にする以外にどうすればいいのかわからないような人をどうするか」という考えのせめぎあいみたいな感じなのかと思った。たぶんこれはどの国でも、(死刑について少し考えたことがある人なら)どんな人でも持つ思いなんじゃないかと感じる。2016/11/11
新橋九段
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アメリカにおける死刑制度とそれを取り巻く問題が詳しく書かれている。構成的にわかりにくい部分はある。しかし問題自体は日本のものと共通している部分が多くどの国も悩みの種は同じかと思わされる。2014/04/09
山像
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リーガルサスペンス作家でもある著者は、イリノイ州で死刑制度を調査する委員も務めた。誤判や遺族感情の問題にも触れつつ、それらは問題の本質ではないと喝破する。この辺りは同ジャンルで有名な団藤重光「死刑廃止論」が圧倒的に主観的感情論に偏ってるのに比べ、フェアな書き方をしていると感じた。 非常に稀に死刑のみが相当な犯罪者がいることは認めつつ、その稀な可能性の為に適正な制度を維持することは困難だという理由で死刑廃止に一票を投じる。色々腑に落ちた(その結論に安住せず個人個人が考えていく必要のある問題だろうけれど)。2013/11/19
saku_taka
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イリノイ州で起こった、死刑をめぐる議論。冤罪は防げるのか、死刑の意味は。小説家でもあり、弁護士でもあるトゥローのノン・フィクション。2012/06/11
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