内容説明
敗色次第に濃厚な一九四三年一〇月、大学生・高専生にたいする徴兵猶予が停止された。学徒出陣の始まりである。続々と死地に送り出された彼らは、この理不尽な戦争での死を受け入れることに苦悶し、厖大な手記を残した。自らの死に納得するために彼らがはらった超人的な努力の悲劇と逆説を、著者はそれらの手記の中に克明に追跡する。前著『ねじ曲げられた桜』で出会った特攻隊員たちへの限りない哀悼の念が、著者に本書を構想させた。
目次
第1章 佐々木八郎―何が愛国だ?何が祖国だ?
第2章 林尹夫―亡び残るものなにもなし
第3章 宅島徳光―冷酷な一つの意志に支配されて
第4章 松永茂雄・松永龍樹―強烈無残な意志の力
第5章 林市造―死はわたしにさだめられている
第6章 中尾武徳―俺は空しく死して行くべきか
著者等紹介
大貫恵美子[オオヌキエミコ]
神戸市生まれ。津田塾大学卒業。1968年、ウィスコンシン大学人類学博士号取得。現在ウィスコンシン大学ウィリアムF.ヴァライス研究専任教授。アメリカ学士院正会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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