内容説明
抱腹絶倒、南太平洋から初めての痔小説!ケツが痛えんだ、どうにかしてくれ!近代医学から民間療法までありとあらゆる治療を受けた男のケツの穴。どうしたら苦痛は止むのか、いったい誰が直してくれるのか?痔の痛みとその治療をめぐるトラブルを、旧植民地国家が持つ社会矛盾の寓意を含みつつ描き出す、奇想天外の小説登場。
著者等紹介
ハウオファ,エペリ[ハウオファ,エペリ][Hau‘ofa,Epeli]
文化人類学者、作家。1939年パプアニューギアにてトンガ人宣教師のもとに生まれる。トンガ、パプアニューギニア、フィジー、オーストラリアなどで教育を受け、オーストラリア国立大学から博士号(文化人類学)を取得。1978年から81年までトンガ王国で王室副秘書官を務める。1981年から南太平洋大学スバ校(フィジー)教授(社会学)。現在は同大学オセアニア・センター長。デビュー小説は『Tales of Tikongs』(1983)
村上清敏[ムラカミキヨトシ]
1949年生まれ。上智大学大学院文学研究科修士課程修了。専門はアメリカ文学、ネイチャーライティング。金沢大学文学部教授
山本卓[ヤマモトタク]
1967年生まれ。東北大学大学院文学研究科博士課程退学。専門は植民地を題材にしたイギリス小説研究。金沢大学教育学部助教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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りつこ
23
史上初のお尻小説。しかもフィジーの人が書いた本を読むのはきっとこれが初めてだと思う。まぁとにかくこの主人公オイレイのお尻が気の毒で気の毒で…。元ヘビー級チャンピオンで島の英雄もお尻をこんなにやられちゃったらなすすべもないわな…。抱腹絶倒のおケツ話が繰り広げられるのだが、実はオセアニア地域の歴史と政治の隠喩でもあるという恐ろしい小説なのだ。とは言え冒頭の作者の序文から大笑いできるので、難しいこと抜きでこのお尻小説に浸るがよろし。2012/11/01
Porco
13
南太平洋の架空の国を主な舞台に、肛門が痛くてたまらない主人公の治療をめぐるドタバタ小説。南太平洋の習俗や文化が窺えたのも面白かったです。2023/01/25
渡邊利道
2
トンガ人英語作家の長編。元ボクシングヘヴィー級のチャンピオンで町の名士オイレイは、ある朝強烈な肛門の痛みに悶絶し、近代医療から呪術までさまざまな治療を地獄巡りに巡って行く。抱腹絶倒のラブレー的な肛門小説のケッサクにして、南太平洋のズタズタにされ折れ曲がってでたらめなツギハギで生きる文化が浮かび上がってくるポストコロニアル文学の傑作。夫婦関係の描写がとても良い。2018/10/09
hirayama46
2
おしり痛い痛い小説。作中にこれだけ「ケツ」という単語が頻出する小説もそうそうないだろうな……。おしりというものはラブアンドピースだということがわかりました。ゆかいゆかい。2010/05/04
Y.C.STUPID
1
トンガ人作家による痔瘻の小説、という出オチ丸出しの紹介を誰もがしたくなるだろう一冊なんですが、出オチの部分には異議を(自分で言っといて)。読めば読んだで面白いのである。本当は政治経済への皮肉が紛れ込んでいるそうなのだが不勉強にも分からず。そういうこと分かんなくても変な呪術師が次々と出てくるので笑えていいです。2020/04/03