内容説明
太平洋戦争末期の沖縄戦では、一枚の宣伝ビラを読んで命が助かった人もいれば、それを所持していただけでスパイの汚名を着せられ命を落とした者もいた。鉄血勤皇師範隊の一員として情報宣伝を任務とする部隊に所属した著者は、戦時中の個人的体験から、日米双方の情報戦を核とする心理戦争について長年、研究を重ねてきた。本書では、その半世紀以上にわたる蓄積の中から心理作戦の実際について、自らの経験も折り混ぜながら、具体的かつ詳細にまとめる。戦争中の宣伝ビラや宣伝新聞の数々、その作成風景や撤布の場面を写した写真など、日米双方の貴重な図版も多数収める。
目次
第1章 心理戦争とは何か
第2章 米国の対日心理作戦
第3章 日本の対米心理作戦
第4章 沖縄上陸作戦に向けて
第5章 激戦のさなかで
第6章 心理作戦に効果はあったのか
著者等紹介
大田昌秀[オオタマサヒデ]
1925年沖縄県に生まれる。1954年早稲田大学卒業後、米国シラキュース大学大学院修了。社会学(ジャーナリズム)専攻。琉球大学法文学部教授を経て、1990‐98年沖縄県知事。大田平和総合研究所主宰、参議院議員
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感想・レビュー
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中年サラリーマン
17
アメリカとの戦争の間、日本アメリカとも宣伝工作をともに行っているが本書はその両国の宣伝工作の比較。アメリカが物量ともに圧倒しパワーゲーム的な手法をとるのに対し、だんだんとジリ貧になる日本は日本国民にたいするアメリカの宣伝に対する防御が精神論的になっていく。アメリカの日本国民に対する投降をよびかけるビラの内容の中で、日本だけではなく世界の戦況に対して客観的事実を述べる手法が効果があったというのが興味深い。一方日本は情報統制をしき沖縄人を犠牲にしたあげく高級軍人はたんたんと投降していたというのは耳が痛い。2014/04/15