出版社内容情報
一九世紀末に産声を上げた映画と、長い歴史をもつ絵画とはどんな影響関係にあるのか。(図版多数)
内容説明
19世紀末に産声を上げた映画は、絵画の長い歴史からいかなる影響を受けてきたのか。運動と静止、物語性と非‐物語性、イリュージョンと物質性―イメージが、メディアやジャンルをどのように越境し、変容を見せるかを照射するイメージ論研究の最先端に立った比較考察。映画や絵画・彫刻の図版をふんだんに使いながらわかりやすく語られ、映画好きも西洋美術ファンも楽しく読める本。
目次
第1章 ウト・ピクトゥーラ・キネーシス―絵画論と映画論
第2章 独り歩きする影
第3章 メランコリーの鏡
第4章 不気味な肖像画
第5章 エニグマとしての彫刻
第6章 静と動のあわいの活人画
第7章 さながら抽象画
著者等紹介
岡田温司[オカダアツシ]
1954年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科教授。西洋美術史・思想史。著書に、『フロイトのイタリア』(読売文学賞)ほか。訳書に、ロベルト・ロンギ『芸術論叢』(監訳、ピーコ・デッラ・ミランドラ賞、中央公論美術出版)ほか多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あんすこむたん
1
様々な映画のモチーフについて語った本。絵画以外にも影や鏡や彫刻などについて様々な作品をあげている。少し専門的ではあるものの、映画を深く語る上で必要になってくることが結構あって、参考になった。2018/07/07
Haruka Fukuhara
1
映画趣味の学者が学術書風に映画愛を語った本?格調の高さは感じるがそれ以上に面白いと思う記述はそれほどなかった。地位を築くと本を出すのも簡単なのかな、といった印象。自分の理解力の問題も多分にあるだろうが…2017/01/26
SHO
1
映画が絵画や彫刻といった芸術をどのように取り込んだのかという点に着目して構造解析したといった所かな。以前に読んだ『建築映画 マテリアル・サスペンス』は建築家が映画に登場する建築に焦点を当ててその効果を分析していたけど、各分野の専門家が各人各様に映画を捉えて論じるのも映画が「異種混淆的で不純な芸術」ならではの面白さだろうか。2015/10/25
Hiroshi Arai
1
(「おわりに」から)「イメージの速度を自由に変化させたり、突然静止させたりすることのできる…DVDが、映画体験をいかに変容させているか、さらにそれが実際の映画作品にいかにフィードバックしているのかについては、すでに多くの研究がある。」あるのはいいけど、映像を止められるかどうかは、技術の問題じゃなくて映画館という文化的なシステムで見るか、自宅などで個人で消費するかの違いだとおもうよ。やけにデジタル制作かどうかに拘って、生だとか死だとか意味不明なことを言ってるけど。2015/08/18