内容説明
戦後民主化にともなう差別解消への希望を込めた一九四八年の「破戒」、部落解放運動に寄り添う形で作られた一九六〇年の「人間みな兄弟」、同様の意図のもと作られながらも部落解放同盟からその「差別性」を糾弾された一九六九、七〇年の「橋のない川」(九一年には部落解放同盟自身が製作に携わる形で再映画化される)、そして当事者自身による「語り」を全面に押し出した一九八六年の「人間の街」と八八年の「家族」―映画のなかに描かれた被差別部落の姿と、それへの被差別当事者の応答や対抗のなかに、戦後部落問題をかたちづくる社会意識のありようを探る意欲的な試み。
目次
序章 映画の中から浮かび上がる戦後部落問題
第1章 封建時代の亡霊/のしかかる「身の素性」―「破戒」二つの映画作品から
第2章 国策樹立要求のなかの自画像と他者像―「人間みな兄弟 部落差別の記録」
第3章 衝突する自画像と他者像―「橋のない川」
第4章 被差別部落の自画像~今へ―「人間の街 大阪・被差別部落」/「家族 部落差別を生きる」
終章 今、問われていること
著者等紹介
黒川みどり[クロカワミドリ]
早稲田大学第一文学部日本史学専攻卒業。博士(文学)。現在、静岡大学教育学部教授。日本近現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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