内容説明
「モモからは時間が盗めない」ことと、モモの「話に耳を傾ける能力」とは、なにか関係があるのか?『はてしない物語』の「汝の欲することをなせ」は、なにを言おうとしているのか?モモは時間の国への途上で巨大な卵の記念碑に出会うが、この巨大卵とは何なのか?エンデの創作の源を、その人生と近代という時代に探り、友人でもあった著者が、作品および関連の著作、知人へのインタビュー、そしてエンデが遺した言葉とともに、多角的、魅力的に描きだす。言葉の宇宙のなか、希望のみなもとをさがしての思索の旅。
目次
『モモ』の時間の花
ファンタージエンの旅路
エンデと大戦
ノヴァーリスと夜
マニエリスムの時代
父と母、その時代背景
エンデと精神世界
カバラと言葉
おわりに
パレルモへの旅―あとがきに代えて
著者等紹介
田村都志夫[タムラトシオ]
翻訳家。1952年生。リッペ専門大学室内建築科およびフライブルグ大学哲学科卒
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感想・レビュー
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みやか
1
22時50分読了。世界はその瞬間のたびに新しく創造され続けている。はかり知れない「見えないもの」に支えられて、世界はここに姿をあらわしている。2010/06/16
うちボン
0
『自由な人間とは、先例や慣習、他人の意見の影響だけをもとに、行動するのではなく、…その行動をしたいとその人自身のなかから自発的に欲する人だ、と。…「ねがいや望み」とはその人の行動やその人のあり方を生むのだから、…そのような次元での想像力が、エンデの考えるファンタジーだと、…』『ファンタージエンの道は、そこを歩く人、その人自身への、心の深みへの道…。』『<見えていないもの>を形にするための通路となるのがファンタジーなのだ。』2020/12/26
kino
0
本当はもうちょい前に読み終わりたかったエンデ本。『ものがたりの余白』でエンデにインタビューした著者による評論…なのか?エンデをテーマにした読み物、というか、ジャンルがわからない。 言葉が柔らかめなので一般読者も対象にしているようだけど、もう少しザクザク切り込んだ方が面白かったのでは、という気もする。しかし宇宙卵のくだりや、ノヴァーリスの話は面白かったです。2018/09/01