出版社内容情報
世界の果てまで旅しても,僕の人生はまだ始まらなかった―インドからロンドン,アフリカへ,「自分だけの物語」を探して旅を続けるひとりの男.植民地解放運動を時代背景に語られる,2001年ノーベル賞作家最新作.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yuki
6
トリニダード出身のノーベル文学賞作家であるナイポールが、ノーベル賞を受賞したまさにその年に出した作品。インドに生まれた主人公が、イギリス、アフリカ、そしてドイツへと放浪する。といっても旅をするといった風情ではなく、周りに微妙に溶け込めずふわふわした生活ぶりが描かれる。これが全くの異文化ならばいっそ楽なのかもしれないけれど、中途半端で半分半分であるが故の据わりの悪さ。読んでいてその辺りの葛藤は良く伝わってきた。2016/04/18
袖崎いたる
4
この小説を思い返すたびに「ぷっ(笑)」と噴き出してしまうような面白さがある。「アホやなぁ」と思ったりなんかしてね。3部制をなしており、とりわけ第1と第3とが爆笑モノである。第1部は何年にもわたって親父から語り継がれた半生史をその子ども・ウィリーが聞いているのだが、最後に親父から「どう思った?」と感想を聞かれる。ウィリーは「お父さんを見損なったよ」と言う。父親は言う。「母さんのような言い草だな」。これでもう笑う。3部では皮肉にもウィリーが見損なったよと言われる側になるのだが、オチがなんとも情けなくてまた笑う2024/12/18
きりぱい
4
「僕の人生の最良の部分は終わってしまった。」と言うのは、もうなのか、まだなのか41歳のウィリー。いつ本当の自分の人生が始まるのか、助走が長すぎる男の物語だった。サマセットというミドルネームの由来、父親の破天荒さ、両親への反発からイギリスへ渡り、馴染めないまま次はアフリカと、身勝手さには移民の気まずさがつきまとい、いつまで経っても自分の居場所が確立できない様はもどかしく・・。中途半端は楽なようで、自分でもやり切れないものなのだ。2010/12/11
なか
2
デタラメでいい加減な父親の人生をなぞるかのようにデタラメでいい加減なその場での思いつきで行動する主人公の話。主人公の周りの人々もどうかしている人多数。序盤の、特に父親の語りは特筆すべきうさん臭さ。2025/01/19
のうみそしる
1
世界の股にかけた男の話🍄2021/03/13