出版社内容情報
中世と近代のはざまにある近世ヨーロッパは、複数の時間の流れる、地域差を抱えた空間だった。ルネサンスからフランス革命まで約350年にわたる西欧と大西洋の歴史を概観し、政治・経済・宗教・学問において起きた諸革命の実相、戦争や商業活動を通して生じた主権国家・国際関係の形成過程を、変化と連続を共に跡づけつつ描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MUNEKAZ
13
グローバルヒストリーを意識したものが多い本講座では珍しく、ヨーロッパという比較的狭いエリアに絞った論集。複合君主政やアトランティック・ヒストリーを意識した内容で、むしろ近世ヨーロッパの多様性と広がりを感じさせようとする狙いか。ただフランス革命や産業革命、宗教改革といった様々な「革命」で紙数が尽きてしまい、展望で描かれているような多様性はどこまで伝わるのか。お馴染みの西ヨーロッパの話に終始し、東欧や北欧、南欧の独自性は見えてこない。「絶対王政」「市民革命」といった過去のタームを乗り越えるのに必死という印象。2023/08/14