出版社内容情報
南北アメリカ大陸で独自の文化を築いてきた多様な先住民社会は、コロンブス以降の西欧諸国による植民地化にいかなる影響を与え、その過程をどう生き抜いたのか。先史時代から説き起こし、大西洋と太平洋が接続され日本も含むグローバルな諸関係が形成されるまで、変容していく世界を、先住民と他集団の主体性のせめぎ合いから捉え直す。
内容説明
先史時代から植民地時代までアメリカ大陸の独自な歩みと、世界の変容。
目次
展望(南北アメリカ大陸から見た世界史)
問題群(北アメリカにおける先史時代社会の諸相;アンデスとメソアメリカにおける文明の興亡;マヤ人から見たスペインによる征服と植民地支配)
焦点(トレント公会議とアンデスにおける先住民布教;一六世紀メキシコからみたグローバルとローカル―女性と家族を中心に;「先住民の黄金時代」とセトラー・コロニアリズムの衝撃―北米におけるイギリス人の経験から;一七世紀フランスの初期植民会社と小アンティル諸島;アメリカ植民地の経済とスペイン黄金世紀―“宮廷の侍女たち”のエンコミエンダ;徳川家康のメキシコ貿易交渉と「鎖国」)
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感想・レビュー
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KA
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大越翼「マヤ人から見たスペインによる征服と植民地支配」。円環論的歴史観を持つマヤ人は、征服とキリスト教が広まったことに「意味」をもたせ「宇宙の秩序」を維持するため、後年それを「予言」した。この歴史記述の重み。誰がこの「修正」を断罪できようか。網野徹哉「トレント公会議とアンデスにおける先住民布教」。なぜ宣教師はインディオたちに訴訟を受け、いかにして異端審問は海を渡ったのか。「司牧者の悪徳根絶」から「インディオの邪教根絶」へ。ミクロな史料批判とマクロな視座が噛み合った見事な論考。お手本にしたいくらいうまい2022/03/07