出版社内容情報
南北アメリカ大陸で独自の文化を築いてきた多様な先住民社会は、コロンブス以降の西欧諸国による植民地化にいかなる影響を与え、その過程をどう生き抜いたのか。先史時代から説き起こし、大西洋と太平洋が接続され日本も含むグローバルな諸関係が形成されるまで、変容していく世界を、先住民と他集団の主体性のせめぎ合いから捉え直す。
内容説明
先史時代から植民地時代までアメリカ大陸の独自な歩みと、世界の変容。
目次
展望(南北アメリカ大陸から見た世界史)
問題群(北アメリカにおける先史時代社会の諸相;アンデスとメソアメリカにおける文明の興亡;マヤ人から見たスペインによる征服と植民地支配)
焦点(トレント公会議とアンデスにおける先住民布教;一六世紀メキシコからみたグローバルとローカル―女性と家族を中心に;「先住民の黄金時代」とセトラー・コロニアリズムの衝撃―北米におけるイギリス人の経験から;一七世紀フランスの初期植民会社と小アンティル諸島;アメリカ植民地の経済とスペイン黄金世紀―“宮廷の侍女たち”のエンコミエンダ;徳川家康のメキシコ貿易交渉と「鎖国」)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MUNEKAZ
14
焦点で扱われているのがコロンブス以後の話ばかりなので、グローバルを意識するとそうなるよねって感じかな。あくまで「世界史」であって、先スペイン期の話はその前振りみたいな扱いになってしまう。あと暴虐な白人に支配される可哀そうな先住民という風ではなく、植民地支配の中で先住民の意識がどう変化したか、過去の出来事を今の状況と繋げるためにどう読み替えてきたのかという点にスポットが当てているのが面白い。2024/06/16
ポルターガイスト
4
24巻すべて読了できた。他の本も読みつつきっかり1年かかり,8万円強消費した。高校で世界史探究を教えるにあたって,全体構成や考え方,押さえた方が良いポイントを把握する上でこれ以上はないだろう。世界史の指導を一通りすべて行った教員なら「2週目の世界史」として読む価値はある。もちろん初学者向きかと言われたらそうではない。2025/03/08
じょあん
2
なぜアステカはわずかなスペイン人に征服されたか? 従来と異なる観点から説明する。その説得力は従来説より高いように思える。 また、メキシコとペルーに対するスペインの統治の違いにも筆が及ぶ。北アメリカ全体をはじめメソアメリカやアンデスについて通史的な論稿もあり、また特定のテーマを扱った論稿もありとバランスがよい巻。「トレント公会議とアンデスにおける先住民布教」の稿は出色。ベラスケスの絵画の侍女から経済とエンコミエンダを取り上げた論稿や、徳川家康のメキシコ貿易の企図について取り上げた論稿なども興味深く読んだ。2024/09/10