出版社内容情報
明治憲法制定や帝国議会開設などを経て,明治国家が立憲君主制国家としての体裁を整えていく過程は,日清・日露戦争を通じてアジアにおける唯一の帝国としての地歩を固めていく過程でもあった.近代国民国家・日本の姿を,産業革命の達成,教育制度の確立,多発する社会問題など様々な側面をふまえ描き出す.
内容説明
立憲制の成立とアジアへの進出。議会開設・憲法制定と、日清・日露戦争の勝利による韓国の保護国化…二つの側面から明治国家の姿を描き出す。
目次
明治憲法体制の成立
伝統文化の創造と近代天皇制
藩閥と政党
日清・日露戦争
日本の産業革命
近代学校教育制度の確立と家族
地主制の成立と農村社会
軍部の成立
社会問題の「発生」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takeshi3017
3
岩波書店の歴史本第16巻。時代は明治。明治憲法体制の成立から自由民権運動、藩閥政治、日清日露戦争とアジアにおける強国としての日本の地位を築いていくが、やがて軍部は暴走をはじめる。伝統文化の創造と近代天皇制、藩閥と政党、日本の産業革命、近代教育制度の確立と家族、地主制の成立と農村社会、軍部の成立、社会問題の発生など。詳細→ http://takeshi3017.chu.jp/file8/naiyou30316.html2021/07/20
へんかんへん
2
テクノクラート、ひらがなに元の漢字、苗字、比較制度分析、ゲーム理論、契約理論、山田盛太郎、日本資本主義分析、コルレス契約、リスクプレミアム、ガーシェンクロン、後進性の優位2016/09/07
さとうしん
2
「伝統文化の創造と近代天皇制」では最後に明治期の宮中での仏教信仰の継続について言及。「藩閥と政党」では西洋的な政党、特に複数の政党が互いに承認してあって競合する状況が理解しづらかったとする。「近代学校教育制度の確立と家族」では学制による小学校での教育課程が当初寺子屋での教育と比べて役に立たないと人々に思われていたと指摘。「地主制の成立と農村社会」では、中国などと比較して日本では地主と小作人との信頼関係が強く、地主制が安定的に発達したとする。言い換えれば日本の小作人の「社畜」度が高いということになろうか。2014/09/02