出版社内容情報
室町幕府の倒壊から,秀吉による全国統一,朝鮮出兵,関ヶ原の戦いを経て江戸幕府が成立するまで,政権の変遷と併行して,キリスト教勢力の進出や朝鮮出兵により緊迫を強めた日・朝・明三国関係への対応を迫られた激動の近世前期.天下人たちが作りあげた強力な支配体制と,社会の特質について,さまざまな角度から論じる.
内容説明
研究の豊かな進展をふまえ歴史の大きな流れを描く。キリスト教勢力の進出や朝鮮出兵により緊迫する情勢への対応を迫られるなか、強力な支配体制はどのようにしてつくりあげられたのか。
目次
近世史への招待
織田政権論
豊臣政権論
朝鮮から見た文禄・慶長の役
近農分離と石高制
キリシタンと統一政権
江戸幕府の成立と公儀
近世都市の成立
近世の身分制
著者等紹介
藤井讓治[フジイジョウジ]
1947年生。京都大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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chang_ume
11
「織田政権論」(堀新)を中心に。織田信長を中世の終わりとするか、それとも近世の始まりと見るか。論者は近世寄りかと思う。公武結合王権論を経て、信長の到達点として「日本国王」さらには「中華皇帝」(!)を想定する結論はかなり大胆ですが、「華夷変態」「イベリア・インパクト論」など、16世紀東アジア世界のダイナミズムを視野に置いた議論は野心的ではあります。将軍職と守護職の設置なく「天下一統」を遂げたことは、たしかに織田政権の特徴で、近年のいわば過小評価(信長を中世の終わりとする見解)に対して反証となり得るだろう。2020/01/31
kenitirokikuti
8
図書館にて。江戸中期、国学者が「上世 あがれるよ」「中世 なかつよ」に対する「近世 ちかきよ」の3区分を用いた。あるいは上古、中古、近古、近世の4区分。近代歴史学でもその二ュアンスを汲んで、近世は今日に極めて近い、あるいは連続した時代とみた。京都人が言うこの間の戦争とは応仁の乱を指す、というのはジョークではなく、少なくとも戦前を生きた人間にとってはそういう感覚があった。「封建制を濃厚に残した近代」という感覚である。高度成長期以後生まれにとってはもう「近き世」ではない。2022/02/27
takeshi3017
3
岩波書店の歴史本第10巻。室町幕府の崩壊から織豊時代を経て江戸時代初期まで。近世史への招待、織田政権論、豊臣政権論、朝鮮から見た文禄・慶長の役、兵農分離と石高制、キリシタンと統一政権、江戸幕府の成立と公儀、近世都市の成立、近世の身分制など。詳細→ http://takeshi3017.chu.jp/file8/naiyou30310.html2021/05/26
tnk
1
伊藤毅先生の都市論を読んだ。温泉町が戦国大名にとって治療場として重要な役割を果たし頻繁な滞在所になっていたことは意外。また、温泉町と鉱山町が天然資源の所在地に制約される山間都市という点で共通するというのはなるほどと思った。2018/09/06
OTR
1
近世の初めを読了。織豊政権のあたりから全く知っているストーリーとは異なり、驚きの連続であった。特に、朝鮮出兵では、文禄と慶長では全く性格の異なるものであったことを知った。キリシタンと仏教の関連性も面白く、初期にはキリスト教は仏教の一派だと思われていたが、実際違うとわかる過程があった。一方で、身分制のところはいまいち理解できず、身分制から勉強して行こうと、課題を持つことができた。2014/12/06