内容説明
普遍の再生は?宇宙のなかの人間の位置とは。先端科学のインパクトを受けて揺らぐヒトと世界の描像。再生か、復権か、反復か―大きな物語の廃墟をゆく、意味と価値の根源への探険。
目次
展望 形而上学は現在する
1 形而上学の核心(なぜ世界は存在するのか―なぜわれわれはこの問いを問うことができないのか;「形而上学」の死と再生―近代形而上学の成立とその遺産;もの/こと、個体/普遍―リアルなものを求めて;必然・可能・現実―様相の形而上学)
2 形而上学の現代的位相(出来事と因果―デイヴィドソン以後;無の場と創造性―歴程の哲学序説;決定論と自由―世界にゆとりはあるのか?;曖昧性のメタフィジックス)
探究 形而上学は(なぜ)批判されなければならないか
概念と方法
テクストからの展望
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マウンテンゴリラ
4
科学の発展と呼応するかのように、衰退していくかに見えた形而上学が、新たな復権の兆しを見せ始めている。それは、科学だけではなく、人間の知性の限界が明らかになりつつある今の状況に関係しているものと思われる。量子力学より派生的に出てきた多世界解釈など、従来の科学では到底及びもつかなかった世界のあり方が最も真実に近いのかもしれない。もしそれが真実であり、我々の住む世界と平行して別の世界が存在するとしても、科学の力だけでそれを証明することはできないのではないか。→(2)2018/01/31
D.Okada
4
知識不足露顕。思考の限界。「自分が立っている地点がひょっとしたらそのような地点かもしれないことは、すなわち自分が思考の限界に立ち会っているかもしれない可能性は、思考の長い迂路を経てはじめて開かれたのだ」。私の思考は浅いからこの一文には遠く及ばない。ウィトゲンシュタインが宣うた如く「語り得ないものについては沈黙せねばならない」のかな。2010/08/15
マウンテンゴリラ
1
またしても壁に跳ね返されたというのが、正直な感想になるかもしれないが、わからないということと、無意味であるということは、全く異なることであるということは少なくとも言えるのではないか。科学の限界や弊害さえもが、明らかになりつつあるように見える時代。であるにも関わらず、遺伝子レベルでの編集、操作といった生命科学や、AIの飛躍的発展など、もはや、科学の進歩は人間が踏み込むべき領域を越えたという感さえ抱かせる。しかも、もはや後戻りもできない状況にあるものとすれば、せめて軍事への利用や、選択的な生命操作など→(2)2019/01/23
ハニ
1
わからないということはわかった。様相実在論についてもっと知りたい2011/01/07