出版社内容情報
20世紀の歴史的・社会的現実と苦闘して形成されながらも,今日の世界を覆う新しい事態にゆらぐ社会科学.その全体像を描きながら社会科学の新しいパラダイムを提唱する本講座は,混迷する現代世界の諸問題を解明する.
内容説明
近代国家形成の過程において、西欧の学問を吸収しながらも日本独自の文脈で鍛え直された社会科学。日本資本主義論争から戦後の高度成長を経て、世紀末の新たな課題に直面する日本社会科学の思想的全容を明らかにする。
目次
1 日本社会科学方法序説―日本思想という問題
2 近代日本における経営のエートス
3 日本における近代経済学
4 社会科学者の植民地認識―植民政策学とオリエンタリズム
5 戦時期の遺産とその両義性
6 技術と主体性
7 日本社会科学の世界認識―講座派・大塚史学・宇野経済学をめぐって
8 戦後の京都学派―今西学派をめぐって
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てれまこし
2
冒頭から「日本の思想」という考え方に疑問を付する酒井直樹の論文。しかし、それは他の執筆者がさまざまな意味で日本社会科学について語ることを妨げない。日本(人)が特殊だから西洋起源の社会科学では解明不能とか、日本人なんだから日本人らしく思考してきたはずだしまたすべきであるというのは論外だが、西洋都市文明で発達した社会科学に盲点があって、そこから外れた者であるから見えることがあるというまではないと困る。それがたまたま偶然に日本であっただけであってどこでもよろしい。「日本」だけが知ることができるというものじゃない2019/12/07