内容説明
多くの民間人を含む1400人以上の犠牲者を出したイスラエル軍のガザ攻撃。イスラエル軍によって社会的インフラを徹底的に破壊されたガザ地区では、イスラエル軍が撤退した今も、経済的困窮が続いている。人間の尊厳を奪う“占領”の本質を、ガザやイスラエルの人々へのインタビューを通して浮かび上がらせる。
目次
1 ガザで何が起きたのか(サムニ一族・虐殺事件;目の前で父を射殺された少女;白旗を掲げた少女の射殺;アルダーヤ家の虐殺;産業破壊)
2 ハマスとガザ攻撃
3 なぜ、ユダヤ系市民はガザ攻撃を支持するのか
4 ガザの復興
著者等紹介
土井敏邦[ドイトシクニ]
1953年佐賀県生まれ。中東専門雑誌の編集記者を経てフリー・ジャーナリスト。1985年以来、パレスチナ・イスラエルの現地を取材、1993年より映像取材も開始し、テレビ各局でパレスチナやアジアに関するドキュメンタリー番組を放映(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かもめ通信
15
2009年のイスラエルによるガザ侵攻を現地で取材したジャーナリストによって書かれた本だが、とても残念なことに極めて今日的な本だった。 わずか60ページほどの冊子の中に、パレスチナやイスラエルの人びとへのインタビューがふんだん盛り込まれ、パレスチナ問題の“今”が、その“深刻さ”がよくわかる中味となっている。 「もし、400人のイスラエル人が殺されたら、世界はどう反応するだろうか。一方、400人のパレスチナの子どもが殺されたことへの世界の反応はいったい何なのだ!」パレスチナ人問いかけが心に響く。 2014/07/25
Joni
6
この前よんだ新書では2002年までの記述だし、パレスチナ問題に関する有名な新書ある程度、古いものが多いのでブックレットで短かったけど2009,1月からのイスラエルのガザ侵攻を現地調査を通して描いている。 二週間ほどはパレスチナ関連の本を読み漁ります。2014/09/03
うさえ
2
何もできないのはわかっていても、考えずにいられない。今この時確実に、地球上に存在する憎悪の連鎖を。『アンネの日記』を読んで、ユダヤ人とは何と気の毒な人たちなのかと、迷うことなく信じられた子供時代が懐かしい。2012/07/06
amane
1
「あらゆる世代の人々が自分を見失い、「被害者」が「加害者」になってしまいました。理性を失い、他人の痛みに鈍感になっています。そして自分の前に壁を作り、目、耳、心を閉ざし、人間性すら閉ざしています。そうでもなければ、あんなことを出来るはずがありません。」【ラミ・エルハナン】p472013/03/25
壱萬弐仟縁
1
「目の前で父親を射殺された少女」(11ページ~)の話など、想像を絶するガザで起きたことの問題を知ることとなった。兵士による暴挙である。娘は記憶喪失になってしまったという(14ページ)。無実の親子を不幸に陥れたことに愕然とさせられる。他にも犠牲者がいたようだ。そして、産業も破壊された(30ページ~)。農場や工場も。評者は、「公正な戦争」(44ページ)ということばに違和感をもった。憎しみの表現だが、その報復も想定できるのだから、やってやりかえす、という悪循環に陥るからだ。時間が経っても変わらぬ憎悪は残念だ。2012/07/28