出版社内容情報
梅岩は江戸後期の庶民哲学であった「石門心学」の創始者.幼少より商家に奉公し,かたわら神・仏・儒の勉学に努め,商品経済の発展の中に生きた彼の体験を基にした主著『都鄙問答』を中心に,梅岩の人と哲学を語る.
内容説明
梅岩は江戸後期の庶民哲学であった「石門心学」の創始者。幼少より商家に奉公し、かたわら神・儒・仏の勉学に努め、後年、講席を開く。主著『都鄙問答』は、幕藩体制下、商品経済の発展の中に生きた彼の体験を基にしたもので、当時広汎な庶民の修養書となった。著者が生涯を捧げた心学研究の諸成果を基に、梅岩の人と哲学を語る。
目次
1 石田梅岩と『都鄙問答』
2 「都鄙問答ノ段」にそって
3 武士・医者・農民・その他の人々の問題
4 「性理問答ノ段」にそって
5 敬神について
6 商人の社会的機能
7 天地開闢についての理解
付録 内外における心学研究の現状
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
coolflat
19
日本は自己責任の名のもとに二極化し貧しい者はますます搾取され没落している。為政者や経営者にとって何でも自己責任にしてくれるのは都合がいい。日本の病は自己責任論(=通俗道徳)にある。通俗道徳は明治政府が急速に日本中に浸透させた。だからこそ、この自己責任論(=搾取)が蔓延しているお陰で日本は明治以降、アジアで最も早く資本主義化に成功したともいえる。この源流は、勤勉・倹約・努力・忍耐といった生活規範(通俗道徳)を商人層(現代では経営者層)に広めた石田梅岩、農民層(現代では一般人)に広めた二宮報徳にあるという。2024/01/01
おせきはん
6
石田梅岩の「石門心学」について、石田梅岩の人物像とあわせて解説しています。商家に奉公した経験から、勤勉、倹約、施行(貧民救済)を通じて「心を得る」「(人間)性を知る」ことを重視するとともに、商売で利益を得ることは正当で、利益を来るべき一層大きな商活動や貧しい者を救助するために使うべきとして当時、士農工商の最も低い地位にあった商に焦点を当てた哲学は、現代にも通じる斬新なものでした。2017/03/29
ペンポン
1
都鄙問答の内容を分かりやすく解説されていて読み易かった。しかし都鄙問答そのものを読んだのではないので、何か消化不良感が残ってしまう。2019/07/23
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