内容説明
ひどい名前、キョーレツな姿、女王君臨の階級社会。動物園で人気急上昇中の珍獣・ハダカデバネズミと、その動物で一旗あげようともくろんだ研究者たちの、「こんなくらしもあったのか」的ミラクルワールド。なぜ裸なの?女王は幸せ?ふとん係って何ですか?人気イラストレーター・べつやくれい氏のキュートなイラストも必見。
目次
1 バタカデバネズミを連れてくる
2 何者なのか?
3 デバのくらし―女王、兵隊、ふとん係
4 ヒト、デバに出会う―研究の歴史
5 飼ってみる
6 デバ脳をさぐる
7 デバに学ぶ処世術
著者等紹介
吉田重人[ヨシダシゲト]
1980年滋賀県長浜市生まれ。2003年千葉大学文学部行動科学科卒業。2008年千葉大学大学院自然科学研究科博士課程修了、博士(理学)。2007年より日本学術振興会特別研究員
岡ノ谷一夫[オカノヤカズオ]
1959年栃木県足利市生まれ。メリーランド大学大学院修了、Ph.D.取得。1994年より千葉大学文学部助教授、2004年より理化学研究所チームリーダー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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ヴェネツィア
445
なんとも気の毒なネーミングだ。でも、その姿を一目見れば、誰もが納得。なにしろ、最初に発見した(1842年)ルッペルは、病気か老衰で毛が抜けてしまった個体だと思ったらしい。このハダカデバネズミは、単に見た目だけが珍しいのではない。哺乳類なのに、真社会性動物なのだ(これについては、最近は少し違った見方も)。すなわち、1匹の女王デバだけが子を産んで、数匹の繁殖オスと他は働きデバと兵隊デバからなるコロニーを形成している。とにかく興味の尽きない動物。しかも、書き手(複数)がまた上手な上に、ツボを心得ているのだ。2014/09/25
takaC
86
紹介してくれたYさん(千葉大卒)によると、今はもう千葉大学では飼育していないとのこと。チッ!見そびれた。2015/11/30
WATA
82
ユニークな生きものを特集している、岩波科学ライブラリーの生き物シリーズの1冊。「ハダカデバネズミ」の名前の由来は見た目そのまま「裸で出っ歯なネズミ」。地中で群れをなして暮らしており、女王デバ・兵隊デバ・働きデバなどの階級が存在する。兵隊デバは外敵から群れを守ろうとするが、力が弱いので天敵のヘビが来ると必ず何匹か食べられてしまう。この本を読んでいると、最初はキモかわいいだけだったハダカデバネズミが、だんだんと愛おしく感じるから不思議。上野動物園で飼育されているらしいので、一度行って実際の姿を見たみたい。2014/06/04
KAZOO
61
出版された当時に読んだのですが、ここで読まれた方がいたのでまた取り出してきて読んでみました。というより眺めていました。いつも噴出して笑ってしまうのです。ありと同じような感じの軍隊組織で統率がきちんと取れていて愉快な感じです。私も一回実物を見てみたいと思っています。2014/06/05
Nobu A
54
岡ノ谷一夫先生著書4冊目(成毛眞推薦本其の拾肆)。本著は岡ノ谷先生の教え子、吉田重人との共著。08年初版。率直にとても興味深く面白い!冒頭で「とても気持ち悪い動物・・・ものの5分も観察していると・・・かわいらしさに気づく」とある。うーん、そんなことはない。寧ろ真社会性、常識外れの長寿、天変地異と勘違いし子供を丸ごと食べる特異性等、生物の不思議さに触れ、理解を深めて存在を認めるようになった。これこそ他動物との共存の過程なのではと感じる。僅か百頁程の岩波科学ライブラリーシリーズだが他著も読みたくなった。2023/02/08
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