出版社内容情報
人が人を食うという妄想にとりつかれた「狂人日記」の「おれ」、貧しい日雇い農民でどんなに馬鹿にされても「精神的勝利法」によって意気軒昂たる阿Q。表題二作とも辛亥革命前後の時代を背景に、妄想者の意識・行動をたどりながら、中国社会の欺瞞性を鋭くえぐり出す。魯迅(1881-1936)最初の作品集『吶喊』の全訳。
内容説明
魯迅が中国社会の救い難い病根と感じたもの、それは儒教を媒介とする封建社会であった。狂人の異常心理を通してその力を描く「狂人日記」。阿Qはその病根を作りまたその中で殺される人間である。中国社会の欺瞞性を鋭くえぐり出す魯迅最初の作品集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
つき
6
最下層の人間阿Qや、落ちぶれた官僚候補の孔乙己、子どもを亡くした女性。どの作品にも、言いようもない独特の悲しみと中国の空気を感じる。2019/05/03
いえのぶ
1
中国は未だに亜Qがいるという本を読み読み直した。確かにこんな人沢山いそう。2018/01/29
numainu
1
評価C2015/07/21
ちやむ
0
阿Q正伝と狂人日記のみ読了。狂人日記については、重度の薬物中毒者の描写が細かく、身近にこんな人がいたら困るなぁと思いました。阿Q正伝については、阿Qのキャラが際立っていて、「精神勝利法」は楽観主義というシンプルなものではなくて、阿Qの哀れな境遇がそうさせているのだと強く思いました。「人として生まれた以上。。。」は、僕のなかでは名言です笑。しかし阿Qのほかにもバラエティー豊かなキャラを次々に登場させ、当時の中国庶民の生活が浮かび上がるかのような臨場感は、フィクションとは思えないくらいでした。2018/01/31