出版社内容情報
「ヨーロッパの近代的短篇にも劣らぬ、常に新しさを失わぬ芸術品の結晶」(武田泰淳)である唐・宋の伝奇物語。下巻には、「杜子春」「則天武后の宝物」「竜女の詩会」「形見の衣」「犬に吠えられた刺客」「つばめの国の冒険」「居酒屋の女」など、唐代中期から末期、五代を経て宋代までの代表的な作品を収録。(全二冊完結)
内容説明
唐宋伝奇の源流は六朝時代の怪異譚に求められるが、唐代になると、意識的に奇異なものを追求して曲折に富む複雑な筋立てにし、修辞も凝るようになる。こうして文学と呼ぶにふさわしい創作ジャンルが確立する。武田泰淳は、これを、ヨーロッパの近代的短篇にも劣らぬ、常に新しさを失わぬ芸術品の結晶であるといった。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
DEN2RO
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宋の時代になると作品が短くなり、内容もシンプルになりがちですが、かえって伝奇性の強いものになっていくようです。後に何度も語り直されたり、新しい作品のもとになったりするお話がいくつもあります。それにしても中国の人々の趣味・嗜好はしばしば理解しがたいです。2014/09/27
ばると、ばふちん
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『伝奇集』といえばすぐにボルヘスを想起するのですが、『唐宋伝奇集』というのも良い響きのタイトルです。小説というよりは物語集かなぁと身構えて読み始めましたら、やはりというか、長編小説みたいにはスラスラ読めませんでした。本編よりも気になったのが日本文学への影響でしたが、訳注を見るに古代から近現代まで日本文学にも幅広く影響を与えているようです。訳注も本文と同じ位重要だったことに気付き、『今度は訳注もしっかり目を通すぞ!』と再読を胸の内で誓ったのでした。2024/07/12