出版社内容情報
人間にとって最高の善としての快楽は,精神的な快楽であって肉体のそれではない.ギリシアの哲学者エピクロスの全著作を収める.
内容説明
ギリシアの唯物論哲学者エピクロスの現存するほとんど全著作を収録した。人間にとって最高善としての快楽は精神的な快楽であって肉体のそれではない。真の幸福は外物にとらわれず、また煩わされず、死の恐怖から免れた無動、平静の精神状態であるとするエピクロスの哲学は、本巻中の各篇から直接に汲みとることができるであろう。
目次
ヘロドトス宛の手紙
ピュトレクレス宛の手紙
メノイケウス宛の手紙
主要教説
断片(その一・その二)
エピクロスの生涯と教説
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いとう・しんご
9
別に老眼のでもないんだけどワイド版を借りてきました。解説で訳者さんは無神論者ではないと言っているけれど、自然哲学を神話より重視する結果、唯物論、経験主義、社会契約論、虚無主義に接近していると思いました。。30ページ分を除いて、他はディオゲネス・ラエルティオスの列伝10巻なので、そっちを読んだ人は読まなくても良いかも・・・なのでボクにとってはほぼ再読となりました。2023/05/13
mfmf
0
エピクロスは快楽主義者っていう程度でしか知らなかったですが、デモクリトスの原子論を継いで唯物観に立った哲学者だったんですね。かといって無神論者でもなく、(著作の大部分が現存しないので不明ながらも)絶妙なバランスの上に論を展開していたのではないかと感じました。断片しか残っていないのが残念ではあるものの、キケロの弁論家について等で頻出するエピクロス派の教理の一端に触れることができるのは貴重。 快楽主義と銘打たれているものの、肉体的な快楽は忌避すべき等々、印象としては禁欲主義に近いものを感じます。2016/02/28
yzw
0
空虚中の原子の運動は落下を第一次的とし、それらの重さのいかんにかかわらず有限等速であると思惟したことは重要だ。2010/08/31