出版社内容情報
日本民族に独自の美意識をあらわす語「いき(粋)」とは何か.「運命によって〈諦め〉を得た〈媚態〉が〈意気地〉の自由に生きるのが〈いき〉である」――九鬼は「いき」の現象をその構造と表現から明快に把えてみせたあと,こう結論する.再評価の気運高い表題作に加え『風流に関する一考察』『情緒の系図』を併収. (解説 多田道太郎)
内容説明
日本民族に独自の美意識をあらわす語「いき(粋)」とは何か。「運命によって「諦め」を得た「媚態」が「意気地」の自由に生きるのが「いき」である」―九鬼は「いき」の現象をその構造と表現から明快に把えてみせたあと、こう結論する。再評価の気運高い表題作に加え、『風流に関する一考察』『情緒の系図』を併収。
目次
「いき」の構造
風流に関する一考察
情緒の系図
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mawaji
5
「急に具合が悪くなる」を読んで宮野真生子さんが専門としていたということで手に取った九鬼周造。「いき」の趣味体系の構成要素を直六面体を用いて表し、音楽を流動する建築と呼んで日本音楽の理論附粋の研究から「いき」の闡明を試みる方法論、とてもムツカシかったけれども何とか読み切りました。読書脳の筋トレと言えるでせう。風流正八面体や情緒の系図などのシェーマを用いた発想はとてもユニーク。岡倉天心の息子だったのか?という生い立ちのほうがとても気になりました。解剖台に横たはる頬に白粉のかすかに残るを見るははかなし 大塚武司2020/04/23
たすたす
0
難しかった。「媚態」「意気地」「諦め」がキーワード。男女関係の中に「いき」は現れるというのは驚いた2017/10/26
yukari
0
何度か読むことでさらに発見がありそう。いき、という概念を六面体で示し、かつ、いきの周囲にある言葉を空間に配置し、幾何学的にいきやその他の概念を説明しているところがすごい。シンプルかつきれい2016/02/22
Macchan
0
漠然と使う(もはや今の時代なかなか使わないが)「いき」という言葉がどういう意味を持つものかについて、他の関連用語(野暮、地味、派手、等々)との間で考察したり、服装や模様、建築における「いき」とは何か(幾何学模様は、曲線は、等々)を考察したりする本。 一つの概念を突き詰めて考え続ける、まさに哲学者の仕事だが、文中にサラリと引用される文章が古今東西国をまたがり時代をまたがりのなんというか博識な人だなー、と感心する。 使われる単語が難しくて理解が難しいのも味。2015/10/27
a075
0
時代を感じる「粋」の分析。2009/02/18