出版社内容情報
ニューラルネットワークなど複雑な問題にいかに対応するか.本書では,統計モデルが滑らかでない点をもつクラスの非正則モデルを「特異モデル」とよび,その最新成果を解説する.広く非正則モデルへの考え方を補論として付す.
内容説明
音声や画像のパターン認識、ゲノム情報の解析などさまざまな分野への統計科学の展開は、それを支える理論にも新しい見方を要求している。なかでも、有限混合モデル、ARMAモデル、変化点モデル、ニューラルネットワークなど、従来「非正則モデル」とよばれてきたクラスに属する複雑なモデルの研究が、新たな注目を集めている。本書では、これらを「特異モデル」と名づけ、その多様な性質を理解するための統一的視点を提示する。豊富な例を紹介することから出発して、それらを統一的に扱う「接錐」による方法論を展開し、ゲノム解析や薬効比較で用いられるモデルの応用も含めて論じる。また、特異モデルにおける最尤推定の性質を幾何学的に解明する「チューブ法」を系統的に解説し、無限次元のモデルに及ぶ。さらに統計的推測理論について、広い理論的視野からの眺望を与える補論2篇を付す。新しい分野の礎を築く画期的な1冊。
目次
特異モデルの統計学(特異点をもつ統計モデル;パラメータ制約モデルの漸近論;チューブ法―正規確率場の幾何学;凸多面錐をパラメータ空間とするモデル;無限次元の特異モデル;その他の話題;付録)
補論(非正則な場合の推測理論;非正則モデルの情報損失)
著者等紹介
福水健次[フクミズケンジ]
1966年生まれ。統計数理研究所統計基礎研究系
栗木哲[クリキサトシ]
1959年生まれ。統計数理研究所統計基礎研究系
竹内啓[タケウチケイ]
1933年生まれ。明治学院大学国際学部
赤平昌文[アカヒラマサフミ]
1945年生まれ。筑波大学大学院数理物質科学研究科
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