感想・レビュー
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へくとぱすかる
57
本巻では、ほぼ刊本内容の紹介によって初期の和算を記述。貨幣の両替、土木工事・検地、米穀等の計量など、室町以来の実用数学から、やがては具体物に寄せながらも、連立方程式、高次方程式の解法へと発展していく。当時の和算は、科学的な態度というより、武芸として捉えられていた内実も具体的に読める。理論より計算、分数なしの小数。残るべく残ったというより、偶然の選択で残った史料であるから、和算の歴史解明には、あいまいな点が残されるのが残念。曽呂利と秀吉、ゼロを示す〇、東西共通の話題に隠された国際交流など、知りたい謎は多い。2020/03/20