内容説明
光や音などの波が伝播する際に媒体や障害物といった物体によって散らされる現象がある。これを波の散乱という。波の散らされ方の解析のために構築されたラックス‐フィリップス理論を紹介する。波動方程式に対する散乱問題を定式化し、波が有界な物体によって散らされる場合の問題を中心にわかりやすく解説する。岩波講座「現代数学の展開」からの単行本。
目次
第1章 散乱理論とは何か―波の散乱の枠組み(弾の物体による散乱;波の物体による散乱 ほか)
第2章 自由空間の並進表現(波動方程式の超関数解;スペクトル表現 ほか)
第3章 外部領域の波と散乱行列(局所エネルギーの減衰;散乱行列 ほか)
第4章 物体の形と散乱行列の極の分布(物体の捕捉性と非捕捉性;Lax‐Phillips半群の評価とS(z)の極の分布 ほか)
著者等紹介
井川満[イカワミツル]
1942年生まれ。1965年京都大学理学部数学科卒業。現在、京都大学名誉教授、大阪大学名誉教授。専攻は偏微分方程式論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。