出版社内容情報
愛や幸福などという感情は所詮イリュージョンにすぎない。まぎれもない事実は生物はみな死ぬことである。この狭間の中にわれわれの生はある。動物行動学者の第一人者であり、ローレンツやドーキンスなどの翻訳を手がけ、ファーブルやユクスキュルにも造詣が深い著者が動植物の生のあり方を通して人間の生の豊かさを問う随筆。
内容説明
空襲で灰燼に帰した東京。疎開先に向かう汽車の窓から見える緑あふれる田園風景。この国で戦争が起きているのは現か幻か、怪しくなるほどの風景の落差。しかし考えてみれば、生きている証として語られる愛や幸福・喜びといったものも単に「説明」でしかなく真理ではない。まぎれもない事実は「生物死」だけではないか。生きもののさまざまな生態の話題を織り交ぜながら「生の意味」を問うエッセイ。
目次
1 われわれは何を見ているのだろう(焼野原の東京;想像と現実の関係;自然を学べ)
2 生きものの論理(人は現物が見えるか;環世界;生物たちの論理;人間の領域)
3 意識・愛・時間―イリュージョンのなかの人間(意識と無意識;愛…この不確かな豊かさ;時間と人間)
4 人間のこころ(心と命;植物と人間の関係;生きる苦しみ;現実の功罪)
5 生きる喜びと「いのち」(生きる喜び;幸福とは何か?;人間の命;イリュージョンとしての「われらの時代」)
著者等紹介
日高敏隆[ヒダカトシタカ]
1930年生まれ。1952年東京大学理学部動物学科卒。東京農工大学講師・助教授・教授を経て、1975年京都大学教授に就任。1993年に京都大学を退官した後は、滋賀県立大学初代学長、総合地球環境学研究所初代所長を歴任。現在は、京都大学名誉教授。岩波生物学辞典第4版、『ファーブル博物記』(全6冊、岩波書店)の編集ほか、一般向けの科学啓蒙書や、ローレンツ、ドーキンスの翻訳など著訳書が多数ある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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