出版社内容情報
ふたたび「古典の中の古典」と出会う――ギリシア語原典に忠実であることを目指した新鮮な訳文が，新約聖書の魅力と謎とに新しい光を投げる．読みの道しるべとして脚注や挿図を付した，画期的な日本語訳の登場．
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きゃんたか
21
エマオの途上で神を見る目を遮られていた弟子の姿こそ、私達の鏡ではないだろうか。イエスという方が何のためにこの地に現れ、何のために死なねばならなかったのか。神がすぐ側にいるにも関わらず、彼らは古ぼけた肉の眼でその栄光を覆い隠してしまった。福音書の弟子の姿が悲惨であればこそ、後半の使徒行伝が熱を帯びる。イエスの告げる神の国の宣教は、パウロの異邦人宣教に襷を繋いだ。記録の初めから異邦人を視野に入れていたルカの聖霊は、かつての迫害者でありイエスの目撃者でもないパウロを見出だすことで、キリスト教の夜明けを告げた。2017/04/19
しゅん
7
各福音書を読み較べる。ルカ福音書の大きな相違は最後の晩餐の場面でイエスがユダを名指さないところ、最後の言葉が「神よ、我が身を委ねます」となっているところあたりか。そもそも聖典にバリエーションがあること自体が興味深い。使徒行伝はイエス亡き後の信徒たちの姿を描いているが、後半はパウロ（途中までサウロ、この名前変更はよくわからない）が主役のダイナミックな叙事詩に。迫害との戦いを、かつて迫害者であった人間を中心に映し出す。一人の男が成長していく姿は、最初から完成された神の子イエスの物語よりも共感を呼び起こす。2016/12/31
yuui02
5
解説より引用。訳者はルカ、使徒の著者はルカではなくかなりの教育を受けた異邦人キリスト者ではないかと推測。（神を畏れるものたち）ルカ福音書の資料はマタイと同じく、マルコ福音書が物語の根幹を提供し、そこにQ文書が第二資料としてはめ込まれる。執筆意図はローマ帝国からの護教ともはや世の終末がまもなく来るという原始キリスト教に特徴的な終末論的時間間隔を共有できない人のために新たな教会理解を提供すること。世の終わりを未来におしやっている。そして救済組織としての教会の重要性。歴史的摂理の再認識とアイデンティティ強化。2016/03/05
Shintaro Ando
1
ルカ福音書だけでなく使徒行伝も載っているから良かった。イエス昇天後のペテロ達の行動が記されていて、ペテロを調べるのにとても役立った。
ミカヅキカゲリ
0
悔い改めさせるやり口が強引だ。2011/05/23
