出版社内容情報
戦争責任とのかかわりで,東京裁判がいま改めて論議の焦点になっている.法廷の設立から審理の過程,判決までを,検事側の訴追や弁護側の反証もあわせつぶさに追いながら,ドイツとの対比で東京裁判の位置づけを明確にする.
内容説明
戦争責任とのかかわりで、東京裁判がいまあらためて論議の焦点になっている。法廷の設立から審理の過程、判決までを、検事側の訴追や弁護側の反証もあわせてつぶさに追いながら、西ドイツとの対比で、東京裁判の位置づけを明確にする。
目次
いま「東京裁判」とは
これまでにない裁判
検察側の追及
弁護側の反論と判決
東京裁判・その後
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
扉のこちら側
70
2016年848冊め。BC級戦争半裁判では984人の死刑判決が出た。対して日本の頂点的指導者を裁きながら7人の刑死者に止まった東京裁判は、正確な通訳もいない状態で裁かれたBC級戦犯と違い、多くの弁護人や適正な通訳がつき恵まれた状態にあった。城山三郎の小説『落日燃ゆ』を読んだときも思ったが、裁判には誤りもあってすべてが公平ではなかったと思わされる。(続)2016/10/13
nobody
13
東京裁判には杜撰さとねちっこさが同居している。ロンドン協定と極東軍事裁判所条例第五条a〜c項と起訴状第一〜三類の戦争犯罪分類の微妙なズレに対し検察側立証9カ月、弁護側反証10カ月半という長さ。だが戦犯と絞首刑がどのように選定されたかは結局謎のままである。これまでのモヤモヤ感の原因は、A級戦犯28被告のうち絞首刑7名を除く18名(松岡洋右と永野修身は病死、大川周明は免訴)及び100名以上のA級戦犯容疑者は存命したどころか公職復帰できたのに対しBC級戦犯984名は漏らさず死刑になっているという不条理さだった。2019/05/02
samandabadra
0
裏話的に読んだ2010/11/13
たろーたん
0
東京裁判でネックになるのは「平和に対する罪」だろう。「侵略戦争の計画・準備・開始・遂行に当たったか、またはそのための共同謀議に参加した罪」を指す。しかし、これまでにも侵略戦争は違法であるという考え方は国際的にも広く認められていた。問題は刑事罰が伴っていなかったことだ。違法な侵略戦争をした刑事責任を侵略当事国の指導者個人に負わせるという考え方が、国際法上で認められたのはこのロンドン協定が最初である。そう考えると「日本を裁くためにわざわざ作った」と言える分もあるが、そうでない分もある。(続)2024/10/09