出版社内容情報
明治憲法の制定過程とその理論には,ゆたかな構想と可能性がこめられていた.これを発展させることができず,十五年戦争を阻止できなかったのはなぜか.平和憲法が試練にさらされている今,歴史から学ぶものは大きい.
内容説明
可能性はあるか;明治維新前後の議会論;近代国家への2つの道;明治憲法の成立;明治憲法体制の歩み;2つの憲法理論
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
肉尊
16
伊藤博文の『憲法義解』において、天皇が大宝である臣民を愛重し、臣民は天皇に服従するということを幸福と考えた。井上毅がロエスレルの助言を受け研究を進めたもののドイツの憲法学では規定できないと考え、神話と宗教的な権威に基づく主権者という国体論で理論づけたという。美濃部達吉の天皇機関説はその理論の欠陥を指摘するものであり、穂積八束との論争は、主権者が天皇か国家かという枠を超えて、国家権力が有限か無限かという点で、その濫用に疑問を呈した所に憲法思想上の意義があると家永三郎が論じた。2021/12/11
rbyawa
1
e202、自由民権派運動の高まりを受けてその鎮圧のため憲法の発布と10年後の選挙の約束をした、というのはなんらかの形で聞いたことがある人も多いと思うのですが(だいぶ限られた選挙権だったのを聞いたのは小学校か中学校)、なぜかあっさりと民権派が勝ってしまい過半数に、というところまでは知っていたんですが、その対抗策として暴力による選挙大干渉なんてことが明治天皇の後ろ盾の下に起こってたのは知りませんでした…結構死傷者出てるんだね。だが失敗! 以降、その手の行動もさすがに減ったようですが、誰が偉かったんだろこれww2014/07/21
samandabadra
1
明治の憲法にはいろいろなバリエーションが存在したが、結局そのうちのひとつを選んだということなんだねえ。2010/10/27