出版社内容情報
「4つの言語,5つの民族,6つの共和国」をもつユーゴ.その「自主管理」の理想は,いまや民族対立のはざまに消え去ろうとしている.独自の社会主義をめざした壮大な実験を描き,危機の源流を探る.
内容説明
「四つの言語、五つの民族、六つの共和国」をもつユーゴ。パルチザン戦争の中から生まれ、ソ連に対抗すべく選ばれた「自主管理」の理想は、いまや民族対立のはざまに消え去ろうとしている。独自の社会主義をめざした壮大な実験を描き、現在の危機の源流を探る。
目次
はざまの国ユーゴスラヴィア
パルチザン戦争と「自前の社会主義」
自主管理社会主義と非同盟政策
「74年憲法体制」とは
「第三のユーゴスラヴィア」の模索―連邦か国家連合か解体か
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
126
まずは一次大戦後にスラブ国家として成立。しかし、民族や原語、宗教の多様性への寛容度に欠け、特にクロアチアが反発し自治州ができた。再び、 二次大戦での不屈の対ナチパルチザン戦によりほぼ自力でナチを追い出した事での連帯感が国を一つとする。パルチザン指導者がチトー。実際は、内部での殺戮もあったようで、それを押さえ込んでの美談かとの疑問も。ソ連を離れた独自の社会主義体制を築こうとし、経済においても東西を結ぼうとした。1980年のチトーの死により体制は崩壊へと向かう。1989年冷戦終結後は内戦、分裂へ。2017/06/05
扉のこちら側
72
2016年1122冊め。1991年6月13日に初版発行の本なので、その2週間後に起きた「スロベニア(十日間)戦争」からのユーゴスラビア紛争についての記述は当然ない。しかしそこに至るまでの過程はわかりやすい。セルビア人の友人からNATOによるセルビア空爆の話を聞いていたのでどうしても私の見方は偏ってしまいがち。もっと文献を読んでいかなければならないと反省。2016/12/20
hamahana
2
第二次世界対戦から1990年のユーゴ情勢まで。60頁なのに読み応え充分。著者のユーゴ留学体験や文化に関する記述も興味深い。また、この冊子が出た1〜2年後には、ユーゴ全土で苛烈な紛争が起きていたことを考えると何とも言えない気持ちになる。2009/09/04