出版社内容情報
激化する受験戦争のなか,帰国子女優遇について議論が沸騰している.人類学者が帰国子女受け入れ校をフィールドワークし,この新しい特権層の形成を多角的に分析.教育問題を超えた「国際化」時代の日本論の傑作.
内容説明
超難関の「一流大学」にも「帰国子女特別入試制度」があり、企業も帰国子女のもつ「国際性」を重視して彼らを積極的に採用する。これまで平等社会だったはずの日本にとって、こうした「帰国子女優遇」は異質なことであり、しだいに波紋がひろがっている。「国際化時代」の日本社会の問題を独自の視線で見すえた新した日本論。
目次
第1章 帰国子女という子どもたち
第2章 受け入れ校でのフィールドワーク
第3章 帰国子女の比較研究
第4章 歴史的に見た「帰国子女」
第5章 日本における新階級の出現
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Nobu A
7
1992年初版。帰国子女は不思議な呼称。それもそのはず、1960年代に当時の文部省が作った、定義が曖昧な造語。英語で「retrunee」と言う日本特有の特権階級であると主張する筆者が人類学的フィールドワークで詳らかにする。70年代に顕在化した帰国子女問題。外交官、学者、大企業社員とエリート層を中心に海外派遣が行われ、西洋思想と技術の輸入と遮断の繰り返しの歴史の中、政治的圧力から潤沢な財政援助が与えられ、受入校制度や大学入試の特別枠が創設された経緯。帰国子女の「再日本人化」の問題等、非常に興味深い内容。2022/01/15
シュークリーム・ヤンキー
1
卒論のため。これまで教育現場などで「特別な支援が必要」とされてきた帰国子女を、その経済的出自や、他のマイノリティグループと比較した際の支援の厚さなどから「特権階級」としてはじめて描いた、以前の帰国子女研究を覆す一冊だと思う。卒論では、現代日本における「日本人らしさ」と「国際性」という言葉を巡るナショナリズムのポリティクスを探ろうと構想しているが、これは使える一冊になりそう。2018/10/16
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