出版社内容情報
美術品などの文化的遺産の公共性は自明なようであるが、問題はそれほど単純ではない。絵画や建築物の所有権について改めて考える。
内容説明
チャーチルの肖像画はなぜ燃やされたのか。死海写本はなぜ長期間人目に触れなかったのか。知的財産権、文化の共有を問う。
目次
第1部 美術品(ディエゴ・リベラの壁画;芸術家の権利と公共の権利;忠誠心故のたき火と決断できずに燃やす人;アメリカの建築遺産;収集家=私人の悪徳、公共の利得)
第2部 文書類の行先(大統領の文書類;最高裁判所の判事たちの文書類;図書館および美術館コレクションの利用;相続人、伝記作家および学者)
第3部 骨と皮ばかり(際立った学会の醜聞―死海写本;学術的研究成果の私有化;古代遺跡をめぐってのビジネス)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
葉
1
リベラ事件をあげ、芸術家の権利と公共の権利として、道徳的権利について良いとしており、チャーチルの肖像画では、チャーチル自身が弱い部分を隠してほしいという秘話もある。建築物に対しては、歴史的、文化的にも特別な意義があるとして、判例を挙げている。収集家とは私人の悪徳、公共の利得という対照的な表現でなされており、死蔵されるべきではないとしている。図書館と美術館コレクションに関しては良いとされているが、うい威名でレアなものは1つしかなく、特定の施設でしか見れないという独占性についても述べれている。2014/11/22