出版社内容情報
近代世界成立のはるか前,ヨーロッパから中東,中国に至るユーラシアの陸海は,すでに1つの世界システムをつくりあげていた.ブローデル,ウォーラーステインを凌ぐ広い視野と豊かな筆致で世界史像を描きだす.全体史の新しい到達点.
内容説明
近代成立のはるか前、ヨーロッパから中東、中国に至るユーラシアの陸海は、すでにひとつの世界システムをつくりあげていた。豊かな視野で構想された新しい「全体史」、待望の邦訳。
目次
序論(システム形成への問い)
第1部 ヨーロッパ・サブシステム(古き帝国からの出現;シャンパーニュ大市の諸都市;ブリュージュとヘント―フランドルの商工業都市;ジェノヴァとヴェネツィアの海洋商人たち)
第2部 中東心臓部(東洋への三つのルート;モンゴルと北方の道;シンドバードの道―バグダードとペルシア湾)
著者等紹介
アブー=ルゴド,ジャネット・L.[アブールゴド,ジャネットL.][Abu‐Lughod,Janet L.]
1928年生。都市社会学・都市史。ノースウェスタン大学および新社会研究学院名誉教授
佐藤次高[サトウツギタカ]
1942年生。アラブ・イスラム史。東京大学教授
斯波義信[シバヨシノブ]
1930年生。中国史。東洋文庫理事長
高山博[タカヤマヒロシ]
1956年生。西洋中世史、地中海史。東京大学助教授
三浦徹[ミウラトオル]
1953年生。アラブ・イスラム史。お茶の水女子大学教授
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感想・レビュー
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サアベドラ
2
ウォーラーステインに対するカウンターというか補完というか。世界システム登場以前のユーラシアに複数存在した地域システムを描き出す。日本人の学者はかなり前から13世紀はモンゴルの世紀!とかなんとか言ってたけど、欧米ではこの時期になるまで注目されてなかったんですかね。これは、日本の学会が発信能力が弱すぎるのか、欧米が日本の学会を無視しすぎてるのか、どっちなのか。両方かしら。2008/11/03
あがた
1
大航海時代がはじまる以前に、地中海から中東、はてはインドや中国までを結ぶ海のネットワークがあり、アラブやインドの商人が季節風を利用して頻繁に行き来していたことを示す。西洋中心の世界史からは見えてこない、もう1つの歴史。 2011/01/01
飯田健雄
0
グローバル・ヒストリー理解のステップとして読んだ。(下)182ページに関するウェーバーの記述は納得できない。ただし、ジャネット・アブー・ルゴトという学者は、博識ですね。恐れいりました。 印象に残ったのは、いろいろありますが、明帝国の海洋覇権の野望(鄭和艦隊のインド・中東遠征)の頓挫が、本土の経済的・政治的混乱にあったということ。現在の中国の海洋進出も、この点できわどいかな? 2015/02/05
可兒
0
ヨーロッパの田舎者が世界に出てくる以前は本文で触れられている方が主な世界システムだったので、「もうひとつの」というタイトルには腹が立つが、まあそこは勘弁してやるか。内容は非常に興味深かったことだし2014/06/12
オレ
0
ウォーラー・ステイン批判として12-13世紀間の世界システムを描いた名著。2013/04/24