生活人新書<br> 今こそルソーを読み直す

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生活人新書
今こそルソーを読み直す

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  • サイズ 新書判/ページ数 251p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784140883334
  • NDC分類 135.3
  • Cコード C0210

内容説明

なぜ不平等が生まれるのか?公正な社会をいかに作るか?理想の教育とは?18世紀に生を受けながら、今日にも通ずる重要な問題を徹底的に考えた思想家がいた。「自然」と「社会」という対立する概念の間で揺らぎながらも、一般意志というコンセプトを使って、理想の社会のあり方を提示したルソー。その考え方を、主著に即して明快に解説。現代人の切実な問いに答えるスリリングな書。

目次

序章 今、なぜルソーなのか?(ルソーの定番的説明;民主主義と自由主義の矛盾 ほか)
第1章 なぜ「不平等」が生まれるのか?―ルソーの格差論(フランス啓蒙主義の特徴;ルソーの二面性 ほか)
第2章 「公正な社会」をいかに作るか?―ルソーの国家論(「理想の社会」にいかに到達するか;自由と鎖のジレンマ ほか)
第3章 「自然」と「理性」のバランスをどうとるか?―ルソーの教育論(多数者の専制;「古代人の自由」と「近代人の自由」 ほか)
終章 なぜ「透明なコミュニケーション」に惹かれるのか?(言語の両義性;「法の絶対視」が悲劇を生む ほか)

著者等紹介

仲正昌樹[ナカマサマサキ]
1963年、広島県生まれ。東京大学総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程修了。現在、金沢大学法学類教授。専攻は、社会思想史、比較文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ころこ

39
約一年前の自らのレビューを読んで、コイツはわかっていなかった、とツッコミを入れたくなります。「自由と民主主義」とサラッと出てきますが、両者を両立させるのは原理的に困難です。政治とはひとびとを拘束する決定を行うことであり、民主主義とはその決定の方法のため、民主主義による決定は少なくとも少数派の自由を拘束することになるからです。この両者の調停役として一般意志は登場します。我々が理性と呼んでいるものが実は我々を曇らせるという、ルソーのモチーフは終始一貫しています。また、一年前は理解できていなかったので完全スルー2019/01/02

シッダ@涅槃

22
『新世紀エヴァンゲリオン』の「人類補完計画」はいまだに魅力を放ち続けてると思う。もちろんそこに性的な意味が強く込められてることはわかったが、妖しさ、危険さも多分に含むことに気づいたのは少し後年のことになるのだけど。ルソー(というより、ルソーフォロワー。ロベスピエール、レーニン、スターリン……)の思想に含まれる「完全に透明なコミュニケーション共同体」の理想、その実現のためにはどんな「障害」も排しても構わないという極端主義は当然極端な全体主義を生む。逆説的にデリダやアーレントの重要さはわかる気がしたが→2022/12/18

ころこ

16
著者はステレオタイプなルソー像からの脱却を試みています。読者がそれを読み辛いと感じるのは、その長い射程が我々の社会の問題として還ってきており、そのことに対する態度表明が迫られている様に感じるからではないでしょうか。スタロバンスキー→デリダによるルソー読解や、ルソー的自然観をロールズの無知のヴェールの様な仮構の思考実験として理解し、一般意志を共通の利益=正義と読み替えることによりロールズと接続するなど、ルソーの現代的意義に重点を置いています。著者は、今日たびたび衝突する集団自治の原理としての民主主義と個人の2017/12/21

さえきかずひこ

14
ルソーの政治経済への考え、国家についての考え、教育についての考えを、彼自身の著作である『不平等論』や『社会契約論』などを適宜引きつつ分かりやすく説き、自然と社会のあいだの緊張関係について、極端な思索を展開したルソー思想について論じる入門書。アーレントによるルソー批判(ルソーは全体主義の先駆であるという言説)を吟味しつつ、終章で『エミール』における法をめぐる矛盾した記述を読み解きながら、引き裂かれた理想家としての彼を垣間見させる後半部は、かなり高度な論述が展開され読みやすいけれどもけっして易しくはない。2020/08/09

かふ

14
自由主義と民主主義の間で揺れる現代社会。民主主義の原点とされるルソーを読み直す。ネット社会における民主主義という概念で「一般意志2.0」の東浩紀ら再びルソーが注目されている。『不平等起源論』から『社会契約論』へ。それを補う『エミール』(教育論)へと解説していく。「一般意志」はいまいちよくわからんかった。っていうか今の現実社会でもネット社会を見ても疑問に思うのだが。2018/11/24

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