内容説明
著者は、心理臨床、とくに「夢分析」として知られる心理療法の最前線で活躍するセラピスト。クライエントが報告する五万例近くにのぼる夢に接してきた経験を基に、「無意識世界を知るための最も有効な心理学的手段」としての夢理解について分りやすく論述する。臨床心理学・精神分析における従来の説明や方法論を批判的に検証し、夢分析に対する誤解を解き、夢分析とは何か、心理療法として夢分析はいかにあるべきかを問う。クライエント川辺恵理子さん(仮名)のケースを中心に実例を数多く紹介し、夢がもたらす深い意味について、また人生のあり方について考察。心理臨床の関係者はもとより、心の問題に関心ある一般読者にも、心の深層あるいは「こころの不思議」、「私の中の/私を超える/私ならざるものの大きな働きや存在」を理解する上で、示唆的な一冊となるであろう。
目次
第1章 夢が物語るもの
第2章 夢分析による心理療法
第3章 夢にみる心理療法のプロセスとそのステージ―「超越的な世界との接触」への道程
第4章 夢から学ぶ「人生の午後」
第5章 夢に示される意識と無意識
付章 「魂の野心」考―ユング心理学における自己実現
著者等紹介
渡辺雄三[ワタナベユウゾウ]
臨床心理士。1941年生まれ。65年、名古屋大学工学部中退。同年より精神科病院に心理臨床家として勤務。病院勤務のかたわら、87年に渡辺雄三分析心理室を開設。94年、本格的に開業心理臨床家として独立。分析的心理療法に専念。2000年、人間環境大学人間環境学部教授(臨床心理学)に。2001年、学位論文「精神分裂病者に対する心理療法の臨床心理学的研究」で社会学博士(関西大学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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