出版社内容情報
2.26事件前後の激動期,深い愛にむすばれ自立をめざして青春を生きた2人の女性の魂の交流を描く.児童文学にうちこみながら,心の底に暖めつづけた著者生涯のテーマを,8年かけて書き下ろした渾身の長編1600枚.
内容説明
武蔵野の秋、明子は、女子大時代の先輩蕗子と運命の再会をした。ゆたかな才能にもてあますように奔放に生きる蕗子と、くもりのない批評意識をもって日々を真率に生きる明子。2人のあいだに、深い信頼と愛が芽生える。2.26事件から太平洋戦争へ、暗さをます激動の時代に、真の自立を目指す2人の魂の記録。生涯のテーマに8年の歳月をかけて挑んだ本格長編小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
松本直哉
22
戦争の足音の近づく世での女性二人の友情の物語は、前に読んだ中島京子『ちいさいおうち』を思わせる。次第に戦争の色が濃くなってゆき、蕗子の肺の病も決して楽観できるものではないというのに、なんとも楽しそうな二人は、どのような小さなことにも楽しみや喜びや笑いの種を探そうとしているかのようだ。同時に、世の中が女に要求する生き方から、お互いできるだけ自由であろうとする強い意志も感じられる。明子の結婚によってしばらく途絶えていた交流が再開して、夫の節夫を蕗子に引き合わせ、三人で初めて食卓を囲む場面が忘れがたい。2025/06/08
とよぽん
6
500ページぐらいの分厚い本なのだが、読み始めると面白くて毎晩の楽しみになった。すぐ下巻を読みたい。2016/12/04
yukibee
5
江國香織さんのエッセイ集「やわらかなレタス」の「バターミルクの謎」に登場してきて、読みたいリストに加えてた1冊。噂の「牛肉のバタ焼き」が本当によく出てくる(笑) それを食べることが生きることであり、愛情に溢れた時間の象徴みたいで、本当に印象的でした。 2018/05/21
椿子
5
少し神経質な明子と、朗らかだけれど結核の蕗子の、絆の強さに、涙が出てくる。女性同士の結び付きって、また結婚した男女の結びつきとは違うものを感じる。それを石井さんは上手く描いている。女性の生き方についても考えてしまう本。言葉遣いも本当に綺麗。2010/12/21
miyukimono
2
このレビューで、「明子が結婚してから面白くなった」とあったので、楽しみに読んでいたら、本当にその通りだった!! 下巻に期待!2016/09/02
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- 和書
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