出版社内容情報
フロイトの発見した「無意識」とは何か。精神分析に革新的な地平を切り拓いたJ. ラカン。彼の豊穣な思想を伝える講義。絶好のラカン入門書。
内容説明
フロイトの発見した「無意識」とは何か―。変質を被った従来の解釈に対して、フロイトの技法論を分析の実践的観点から根源的に問い直し、精神分析学に革新的な地平を切り拓いていくJ.ラカン。その豊饒な思想の生成が、哲学者のJ.イポリット、F.ペリエをはじめとする分析家たちとの生き生きとした対話を通して、平明かつ直截に語られる。ラカン自身による最初のセミネール―難解で知られるラカン思想への絶好の入門。
目次
セミネールの開講
抵抗の瞬間(フロイトの技法論の検討への序言;抵抗の問題についての最初の発言;抵抗とさまざまな防衛;自我と他者;フロイトの『Verneinung〈否定〉』に関するジャン・イポリットの報告への序と解答;ディスクールの分析と自我の分析)
想像的なものの局所論(想像的なものの局所論;狼!狼!;ナルシシズムについて;2つのナルシシズム;自我理想と理想自我;時間的‐発達史)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Z
11
セミネール第1巻だが、記録に残ってないセミネールが以前にあったようで、色んな事が既知とされるか説明不足でいきなり読んでもわからないと思う。転移をベースに自我を論じる巻。転移をフロイトは二つの意味で用いていた。一つは過去の人間関係を患者が治療の場で再現しようとする(例えば過去の恋人を医者に投影する)もので、もう一つが一次過程から二次過程、事物表象から語表象へ表象が変換(翻訳)されることである(転移は英語でtranferである)。これから人間関係(分析関係)における象徴的なものと想像的なものの区分を論じる。と2018/10/13
またの名
7
え、これラカンなの?と疑いたくなる読み易さは、セミネールの第一巻だからか。訳ワカラン用語もまだ頻出せず、聴衆の注目も主に鏡像段階論に見られるような想像的なものの分析家としてのラカンに向けられている様子。終焉さんのご指摘のように、参加者との台本なしのやり取りを追いかける読者に一緒に「楽しもう」と思わせる良い空気がある。フロイト読解の精密さと鋭さがやはり凄い。理想自我と自我理想の区別、排除のメカニズム、未来からやってくる抑圧されたものの回帰等についてジジェクあたりで予習していれば、そんなに難しいこともない。2014/02/05
ともすけ
2
ジャック・ラカンの本は難解極まるがその中では読みやすい本です。フロイトの精神分析をよく読み込んでいる人ならついていけるかと。しかしラカンを血となり肉と成すためには相当の根性がいることはいうまでもない。。。2012/09/06
yoyogi kazuo
1
とにかくわからないなりに読み通した。ラカンもそうだがどうもフランスの現代思想家の文体は肌に合わない。千葉雅也によればフランス語は語彙が少ないのでどうしても持って回ったような言い方になってしまうらしいが(かなり適当な記憶)、どうしても知的な詐術という印象を持ってしまう。それでももうしばらくはラカンに付き合うつもり。2023/01/19