出版社内容情報
被爆者の「心の傷」の問題に真正面から取り組む初の試み。被爆者に長年向き合ってきた精神科医が、今だ癒されぬ「心の被害」のより深い理解を求めて、綿密な聞き取りで得た数々の証言を記述する。
内容説明
「被爆者の心の傷」はきわめて重篤な、特殊なPTSDであり、それはいま生存している被爆者すべてがもっている―被爆後六一年経ったいまでもなお、その傷は癒えない。それはなぜなのだろうか。著者だからこそ聞くことのできた体験談、発表を許された貴重な証言を紹介しながら精神科医の冷徹な目をもって分析し、「被爆による心の傷」とは何なのかを客観的に示す。長年、多くの被爆者と、医者と患者として以上に付き合ってきた著者だからこそ実現できた貴重な一冊。
目次
第1章 ヒロシマへの旅
第2章 見ても見えない―記憶の障害から「心の傷」を探る
第3章 「見捨て体験」とその記憶の再現―自責感の発生
第4章 見ても感じない―広範に起きた感情麻痺の自己査定
第5章 いまなお続く、引き戻らされ体験
第6章 「心の被害」もあの日がスタート―さらに加わる心の傷
第7章 被爆二世―体験伝達をめぐる微妙な親子関係
第8章 生き残ったことの意味を求めて―被爆者たちの老い
第9章 改めて心の被害とは
第10章 旅のおわりは、旅のはじまり?
被爆者の「心の被害研究」歴史と解説
著者等紹介
中澤正夫[ナカザワマサオ]
1937年群馬県生まれ。精神科医。佐久総合病院、群馬大学付属病院などを経て、2002年代々木病院副院長を退任。現在、代々木病院嘱託医(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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