ねじ曲げられた桜―美意識と軍国主義

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 602,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000017961
  • NDC分類 210.75
  • Cコード C0021

出版社内容情報

半世紀余り前,日本の将来を担うべき多数の若者が,「カミカゼ」に搭乗して海の藻くずと消えていった-「桜が散るように」.為政者は桜の美しさを,ナショナリズム高揚と戦争遂行に利用したのだ.そのとき国家と国民のあいだに起こった「相互誤認」を,学徒特攻隊員の日記をきめ細かに分析して証明する.象徴人類学の見事な成果.

内容説明

日本の国花である桜は、一九世紀末より、「祖国、天皇のために潔く散れ」と兵士を死に追いやる花となり、太平洋戦争敗戦の直前には特攻隊のシンボルとなった。著者は、明治の大日本帝国憲法をはじめ、軍国主義の発展を分析する一方、特攻隊員の遺した膨大な記録を読み解き、桜の美的価値と象徴によるコミュニケーションに常に伴う「解釈のずれ」を中心に、どのように「桜の幹」がねじ曲げられてきたのかを検証する。平和への願いを込めた、人類学の見事な成果。

目次

桜の花と生と再生の美学
もののあわれの美的価値―咲く桜から散る桜へ
仮想の世界の美と桜―自己と社会の規範を超えて
文化的ナショナリズムと桜の花の美的価値
天皇の二つの身体―主権、神政、軍国主義化
桜の花の軍国主義化―桜の花が戦没兵士の生まれ変わりになる過程
国土の象徴としての桜の花―民衆の軍国主義化
「運命を選ぶ自由」―特攻隊の成り立ち
特攻隊員の手記
国家ナショナリズムとその「自然化」の過程
グローバルな知的潮流を源泉とする愛国心
幹を曲げられた桜

著者等紹介

大貫恵美子[オオヌキエミコ]
神戸生まれ。津田塾大学卒業。1968年、ウィスコンシン大学人類学博士号取得。現在ウィスコンシン大学ウィリアムF.ヴァイラス研究専任教授。アメリカ学士院正会員
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

風見草

1
国家による「桜」の図像や文章表現の利用の追究…という点からみると特攻隊員の日記や思想の記述は冗長に感じた。ただ、近代以前に遡って桜の意味付けの幅の広さや変遷をたどったり、同じ対象を語って内心の解釈はすれ違うという「メコネサンス」を分析の土台として、国家の流布させようとした桜のイメージと特攻隊員の桜に託すイメージが必ずしも合致しなかったことや、為政者や個々の作家でも思い通りには受け手の内心を誘導しきれない、という視点は面白かった。2013/09/17

つか

1
大学のレポートに使いました。本当に綿密に特攻隊のことについて研究・推察なさっています。桜を使って当時のインテリをどのように特攻へと向かわせたのか。実際特攻隊として派遣された彼らはどのように感じていたのか。家族や恋人、友人に思いを馳せている文面は心に深く刻み込まれました。改めて戦争というテーマを考えさせられる一冊です。2013/01/19

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/346549
  • ご注意事項

最近チェックした商品