出版社内容情報
半世紀余り前,日本の将来を担うべき多数の若者が,「カミカゼ」に搭乗して海の藻くずと消えていった-「桜が散るように」.為政者は桜の美しさを,ナショナリズム高揚と戦争遂行に利用したのだ.そのとき国家と国民のあいだに起こった「相互誤認」を,学徒特攻隊員の日記をきめ細かに分析して証明する.象徴人類学の見事な成果.
内容説明
日本の国花である桜は、一九世紀末より、「祖国、天皇のために潔く散れ」と兵士を死に追いやる花となり、太平洋戦争敗戦の直前には特攻隊のシンボルとなった。著者は、明治の大日本帝国憲法をはじめ、軍国主義の発展を分析する一方、特攻隊員の遺した膨大な記録を読み解き、桜の美的価値と象徴によるコミュニケーションに常に伴う「解釈のずれ」を中心に、どのように「桜の幹」がねじ曲げられてきたのかを検証する。平和への願いを込めた、人類学の見事な成果。
目次
桜の花と生と再生の美学
もののあわれの美的価値―咲く桜から散る桜へ
仮想の世界の美と桜―自己と社会の規範を超えて
文化的ナショナリズムと桜の花の美的価値
天皇の二つの身体―主権、神政、軍国主義化
桜の花の軍国主義化―桜の花が戦没兵士の生まれ変わりになる過程
国土の象徴としての桜の花―民衆の軍国主義化
「運命を選ぶ自由」―特攻隊の成り立ち
特攻隊員の手記
国家ナショナリズムとその「自然化」の過程
グローバルな知的潮流を源泉とする愛国心
幹を曲げられた桜
著者等紹介
大貫恵美子[オオヌキエミコ]
神戸生まれ。津田塾大学卒業。1968年、ウィスコンシン大学人類学博士号取得。現在ウィスコンシン大学ウィリアムF.ヴァイラス研究専任教授。アメリカ学士院正会員
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風見草
つか