出版社内容情報
魔術的リアリズムと称される強く冷たい文体をもつユンガーが,暴力の席巻する架空の国を舞台に夢幻と高貴な精神を象徴的言語で綴る.戦時下のドイツで発表され,反ナチス抵抗文学として全欧に影響を与えた作品.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶうたん
7
小説としては「ヘリオーポリス」の方が有名と思われるが、これはこれで知られているらしい。解説で「魔術的リアリズム」と評されているものの、どちらかと言うとナチスに対する抵抗文学と目されているのがわかる、ほぼリアリズムで固められた小説。読み始めは主人公が植物採集とかして浮世離れしているなあと思っていたら、終盤は血生臭い展開になり驚いた。襲ってくる猟犬群を蹴散らして戦火に浮かび上がる毒蛇たちとか、夢幻的な場面はなくも無いので、大変読みにくいけれど、がんばって最後まで読みました。2022/08/14
trash
1
本を読んで一番驚いたのは初版出版の35年後の1990年に2刷目が出ていた事。2010/01/24
ヤマニシ
0
「私たちは現在の瞬間が過ぎ去ってゆくあいだに、遠い過去か、遙かなユートピアのなかに動きまわっているのである。」(p29)2022/12/11
宫羋
0
ユンガーの読みにくさの理由は色々あるが、この小説においてはなにより、植物の形態という微視的視点の文章が語られたと思ったその次の文章で自然の秩序やそれを究明する人間の活動といった抽象的かつマクロなスケールの文章が語られることにある。要はスケールの目まぐるしい変化。 山尾悠子「飛ぶ孔雀」の難解さもそういえばその種の読みにくさに起因するものだ。 内容に関していえば、抵抗文学だそうだが登場する道具立て(人物や舞台、起きる事象)は飛び抜けて変わったものはないのゆえに妙な神話性というか普遍性がある。2021/10/20
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