出版社内容情報
日中戦争から冷戦へ.戦時下の中国や体制の違う諸国に飛び込み,文学上の友を求めてユーラシアを往還していたあの時代.異郷の友たちと取り交わし果せなかった約束に促されて,21世紀の新しい人びとに托す連作短篇.
内容説明
戦中・戦後のユーラシアを舞台に、異郷の作家たちと激論を闘わせながら交わした友情。彼らはいつしか歴史の闇に消えていったが、あのとき背負った時代の課題は、いまもなお深い傷痕を刻んだまま、二十一世紀に持ち越されようとしている―。時代の証言として書き遺された、数々の交遊録を通して浮かび上がる、二十世紀の問題群。
目次
遠人近交録(抗日名優の陸柏年;金史良との一夜;ソロモンのスプーン;アレックスと共にアレキサンドリアへ;ムールード・マムリのアルジェ招待を受けて;永遠のペンフレンド・ローリー)
鬚のガートフ
寄留者たち
著者等紹介
中薗英助[ナカゾノエイスケ]
1920年、福岡県生まれ。旧県立八女中学校卒業後、旧満州を経て北京に遊学。現地で邦字紙新聞記者をしつつ、文芸雑誌『燕京文学』同人。50年、『近代文学』に「烙印」を発表し、作家生活へ。60年安保以後、ルポ及びエンタテインメントを精力的に書く。65年から74年までAA作家会議などの国際文学活動に従事。02年4月逝去。主な著作に、『北京飯店旧館にて』(読売文学賞)、『鳥居龍蔵伝』(大仏次郎賞)など
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。