出版社内容情報
『源氏物語』に引用されている白楽天の詩文が,物語の主題や構想,創作動機とどうかかわるのか.54帖を誇る一大「恋愛小説」の展開に沿って,「長恨歌」や「李夫人」などの漢詩文を読み解き,作者の意図を探る.
内容説明
中国唐代の大詩人・白楽天の詩文を『源氏物語』が数多く引用するのはなぜか。本書は、引用された白詩を『源氏物語』の文脈に深く浸透させながら『源氏物語』の創作過程を吟味し、もう一つの文脈として白詩を響かせつつ、壮大な宇宙観を語り進める古典の手法の、驚くべき深層を鮮やかに解明する。『源氏物語』の本質に新たな光をあてる一大雄編。
目次
桐壷
帚木
夕顔
若紫
末摘花
紅葉賀
葵
賢木
須磨
明石〔ほか〕
著者等紹介
中西進[ナカニシススム]
1929年生まれ。東京大学文学部卒業。文学博士。筑波大学、国際日本文化研究センター等の教授を経て、京都市立芸術大学名誉教授。専攻は日本文学、比較文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やいっち
70
吾輩の感想など野暮で無駄ですらある。筆者の結語の一部を示すだけにとどめる:「男の一代記としての光源氏物語は、幻を求める心を首尾とした物語であり、次代までもとり入れた物語は生死の境を超えて愛の因果に仕組まれた非情さをも主題とするものであった。白楽天の詩文を協奏する『源氏物語』の作業とは、こうした大きな宇宙観を読者に提示することだったのである。」 本書を読む苦労は、そもそも「源氏物語」を地では読めないのに、それに輪をかけて、白楽天の詩文の書き下し文すらまともに理解できない自分の素養のなさに起因する。2021/10/06