内容説明
言語を介して人間存在の本質に迫る試みは決して新しいものではない。だが、デリダからスーフィーをへて空海へ、ソシュール言語学からイスラーム神秘哲学をへて唯識・華厳の学へと、この広大な精神世界の体験を言語化しようと企てたものはいまだかつてなかった。古今東西の思想を自由闊達に渉猟し、しなやかな精神をもって「意味の深みへ」と向かう碩学の思索は、思想のポストモダン的状況において、知の沃野が東洋哲学の世界を通して限りなく拡がることを啓示する。
目次
1(人間存在の現代的状況と東洋哲学;文化と言語アラヤ識―異文化間対話の可能性をめぐって)
2(デリダのなかの「ユダヤ人」;「書く」―デリダのエクリチュール論に因んで)
3(シーア派イスラーム―シーア的殉教者意識の由来とその演劇性;スーフィズムと言語哲学;意味分節理論と空海―真言密教の言語哲学的可能性を探る;渾沌―無と有のあいだ)
著者等紹介
井筒俊彦[イズツトシヒコ]
1914‐1993年。1937年慶應義塾大学文学部卒業。1968年まで慶應義塾大学文学部教授。以後、マッギル大学(カナダ)教授、イラン王立哲学アカデミー教授、Institut International de Philosophie会員を歴任。専攻は言語哲学・イスラーム哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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