鏡の森

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  • サイズ B6判/ページ数 493p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784916199645
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

雪のごとく白い肌、森のごとく黒い髪、血のごとく赤い唇―美しい森の城の王女アルパツィアは、十四歳になった冬、城を襲った征服王ドラコによって連れ去られ、陵辱される。ドラコの王妃となった彼女は、「豊穣の女神デメトラの土地」と呼ばれるベルグラ・デミトゥで、敵に囲まれ心を閉ざしたまま、一人の赤ん坊を産み落とす。コイラと名づけられ、乳母に育てられた赤ん坊は、七歳になったある日、城で時折見かける氷のように美しく冷たい女が、自分の母であることを知るのだが―。さまざまな物語要素がまるで鏡のように乱反射し、紡ぎ出されるタニス・リーならではの美しくダークなエロティック・ファンタジー。愛を求めてさまよう二人の「白雪姫」の物語。

著者等紹介

リー,タニス[リー,タニス][Lee,Tanith]
1947年にイギリスのロンドンで生まれる。CatfordのPrendergast Grammer Schoolで中等教育を受け、9歳の時から創作を始める。卒業後は図書館の助手や店員、文書整理係、ウェイトレスなど様々な仕事に就き、25歳の一年間は美術大学で学んでいる。1970年から1971年にかけて、子供向けの本を3冊出版。1975年にDAW Books USAが『The Birthgrave』を出版。その後立て続けに26冊が出版され専業作家となった。長きにわたり世界中で愛読され続ける彼女の作品は、長編、短編、シリーズものなど、15カ国以上で翻訳されている
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

愛玉子

9
白雪姫をモチーフとしながら、印象に残ったのは母親である女王だった。愛することも愛されることも知らないまま運命に翻弄され、精神的に破綻してゆく女王が哀れで痛々しい。一方、娘である白雪姫は、憎まれ、疎まれ続けた人生のなかでも愛することを知る。白雪姫を目覚めさせる『王子』がまた印象的。ダークで残酷な物語の後、希望が仄見えるラストが良い。再生と出現。純真な、汚れなき新雪。2009/07/24

shou

5
白雪姫をベースにギリシャ神話、三位一体や7つの大罪などを織り込んだ中世ダークファンタジー。幼くして拉致され、哀れな未熟さのまま老いていく王妃アルパツィアが悲惨すぎる。王女カンダシスの行く先には救いがあるけれども、キリスト教要素は今ひとつしっくりこなかったかな。2015/09/23

madhatter

5
リー版白雪姫。但し、同時にギリシャのデメテル神話も下敷きにしている。そのせいか、本作は私には母子の物語に思われた。クリメノへの愛でアルパツィアは母性愛を知る。また、ヘパエスティオンへの愛を知ったコイラは、母を認め、自らも母性を注ぐことが可能になる。彼女等は母子ともに白雪姫であり魔女であり、共に歪められた人生を送ってもいる。母子二代を経て、女の一生の捻れが元に戻り、ラストシーンで浄化される。心が軋むようなストーリーだが、美しい。2010/02/21

星落秋風五丈原

4
「雪のごとき白い肌をした娘」とくれば、幼い頃童話を読んだ方なら、すぐピンとくるだろう。本書は白雪姫をベースにした物語である。ストーリーは概ねオリジナルを離れていないし、登場人物達も揃っている。但し、童話に書かれていなかった部分が加わっただけで、全く別の物語になっている。2010/05/08

冬薔薇

4
大人の残酷童話。(七つの大罪)から俄然ストーリーが展開してきて面白い。輝く生命の誕生の予感に希望を感じる。2011/05/10

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