内容説明
近代演劇はどこから来たのか。「近代演劇」の出自を探り、時系列的な配置のなかで見過ごされてきた、開化期から大正期に至る演技表現や、観客の受容や心性を通して、歌舞伎を中心とした演劇の魅力と謎を再検討する。
目次
1 九代目団十郎の領分(「血走る眼」の系譜―七代目団十郎の肖像;九代目団十郎に見る絵画の影響―「復古大和絵派」と「江戸琳派」;活歴の領分―黙阿弥と団十郎と ほか)
2 さまざまな明治―「江戸育」の残像(「もの」の構造として見る散切物;散切物に見る「立身」と「故郷」;明治の「風俗」と「戦争劇」の機能 ほか)
3 「江戸」の変容としての大正(「江戸趣味」の水脈―近代歌舞伎受容の一側面;「新歌舞伎」の発想―変質する目と耳;「自然主義」のなかの「江戸」―抱月・柳外・新派の人々 ほか)
著者等紹介
神山彰[カミヤマアキラ]
昭和25年(1950)東京生まれ。明治大学大学院文学研究科修士課程修了。演劇学・近代日本演劇専攻。昭和53年(1978)より国立劇場芸能部制作室勤務。平成8年(1996)より明治大学文学部助教授。現在、同教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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rbyawa
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j005、半ば伝説的人物である9代目団十郎が主に語られていたのだが、歌舞伎と絵画が近い関係にあるとか言われてもまずそこから躓くし、絵師が政治活動に関わることが多いと言われても難しく、「当時残虐趣味が流行ったが、当人が色濃い狂気の血を持ち、父を殺され養父は目の前で惨殺された団十郎がその流れに乗れなくても当然」という見解は…いや、これはわかるな、そりゃそうだよな物には限度があるよな。そして活歴の低評価にも関わらず、演技の高い評価もなく、なぜか特別無比な役者だと誰もが認めていたってのもなんかこう、凄みがあった。2019/01/18